やがて、紅(くれない)は罰になる
藍アキラ
プロローグ 『白い夢』
まだ
俺は新しい保護者の振る舞いに、なんて子供っぽい人なんだと驚いた。
白熊の毛は透明らしいよ、と訂正しただけなのに「知ってたもん」と口を尖らせるなんて。
どうやら自分の名前が
さらにその後、むくれた姿を見られて慌てたのか、「今日は
まあ、姉さんだってあの頃は二十代だったから、未熟な所があってもまったく不思議じゃない。
引き取った
かなり
家族の身でも、まぶしくて目を逸らしてしまう。だけど、いないと気が滅入る……あの人はまさしく太陽で。
俺にとっての光というのは、隣から差すものだった。
ある日、学校からの帰り道。
白梅姉さんが買い物袋を両手に持ったまま、ただ立っていて。
そんな所で何してるのかと声をかければ、こう答えたのを今でも鮮明に覚えてる。
「ちょうど、あなたが帰ってくる頃だと思ったから」
俺は──涙が出そうになるのを必死でこらえて、一緒に帰った。
生きている限り、いつかこの人を
せめてその日がもっと、ずっと先でありますように……そう願っていたけど、過剰なほど幸せだったせいなのか。
姉さんは死んだ。
犯罪なんてほとんど発生しない、この世界で珍しくも殺された。
犯人はあっけないほど簡単に裁かれて消え──憎むべき相手が不在だからか。
俺よりもさらに打ちひしがれた
三年かけて
思い返せば、ほんの少しだけ安心していたように思う。
なぜって……最愛の人を失う未来に、
◆◆◆◆
ここまで
「なあ、陳述ってこんな感じでいいんですか?
このままだと相当長くなるけど……アンタ、ちゃんと聴いていられる?」
すると当然だと返されて──「順番が前後しても構わないし、好きなように話せばいい」と付け加えられた。
とはいえ、ダラダラと話すのはどうにも気が引ける。
話すべき所………忘れられない最初といえば、やっぱりあの悪魔との会話だろうか。
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