お犬様
我が家には齢20になる老犬(♀)が住んでいる。
この世に一緒に飛び出してきた兄妹たちの中で、一番の長生きである。
よく食べ、何をしても褒められ、じつによく眠り、おそらく気ままに生きている。
そんな可愛い生き物が我が家の中心である。
数年前に室内飼いデビューをしたからか、トイレは決して家の中ではしない。トイレに行きたくなるとそわそわし始め、鈍感な人間たちに気づいてもらえないと暴れ出す。暴れると言ってもクッションをほりほりしてみたり、スリッパを蹴飛ばしてみたりする程度だから可愛いことに変わりはないが、こうなった時には高頻度ですでに緊急事態なのである。
普段はお散歩に行くのにも渋々連れて行かれているのに、緊急事態の時はドアを開けた途端に競走馬の如く走り出す。己の縄張りで排泄したくないのでなるべく家から離れてトイレをしたいのだが、如何せんもうすでにピンチである。できる限り離れたい気持ちと今すぐにでもトイレをしたい気持ちがせめぎ合って、トイレしながら歩くこともしばしばある。
そんな姿を見るたびに、トイレのしつけをするべきだったなと思うのだが、この先がすごく長いわけではないかもしれないし、もうこのままでいいかと思い、もう5年ほど経つ。するべきだったのは明らかである。善は急げという言葉を後世に残した人もこんな気持ちで後悔していたのだろう。
過去に2回ほど倒れ、よもやこれまでかと思ったこともあったが、その度に驚くほど回復しているのだからすごい。
一体何が彼女を引き戻してくれているのかは見当もつかないが、ちゅーるテリーヌを食べるのが下手くそなまま、いつか尻尾が二つに割れてくることを期待している。
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