第39話『ゾルフレア遺跡と最後の宝玉』

 俺たちは冒険者として、馬車でゼアルードへと向かっていた。 外は荒れた大地が広がる。 この国の大地は農業などに適さず、ルードランドの肥沃な大地を狙っていると言われている。


「本当にいいのかイオリシア。 危険過ぎるぞ」


「私の魔法はあなたがよく知っているでしょう?」


「私の時はそんなに心配してなかったわよねカイト」


 ディルセアが不機嫌そうに言った。


「いや、ディルセアはあの時必要だっただろ」


「つまり私は必要ないと......」


 イオリシアはそう冷たい目で見てくる。


「レンド助けてくれ」


「カイトさん、すみません、馬車の操作があるので......」


「お前......」


「どういうことかちゃんと説明をお願いします」


「そうね」


 俺はゼアルードまで二人に詰められた。



 ゼアルードの街【トレアナ】に着いた。 そこは平凡な街で特に異変はない。


「着きましたね。 冒険者ギルドに向かいましょう」


「そうね。 私も冒険者に登録したいし」


 イオリシアとディルセアは仲良くしゃべりながら歩いている。


「はぁ、つかれた」


「大変でしたね」


 レンドは他人事のように言った。


「ただ、ここからだ。 もしここに最後の宝玉があったら、全て揃う」


「ええ、カイトさんの持っている終焉の宝玉もありますし、ここのは放置してもいいのでは」


「それも考えたが、運命の宝玉フォーチュン・オーブでアンデッドたちを制御したり、別の宝玉で強化の魔法の力を与えるなら、一つでも使用させるのは危険だ。 どんなことができるかわからない......」


「確かに...... やはり手に入れておいた方がいいか...... ただあいつらが来たときですよね」


「ああ、レンドはゼノフォスから、【閃光の瞬き】《フォトンブレイド》をもらったんだろ」


「ええ、自分の代わりに持っていってくれって......」


 そう背中の剣を見た。


「正直、まだ使いこなせてません。 俺はゼノフォスさまみたいに強くない」


 不安げにレンドは目を伏せた。


「大丈夫、俺は信じているぞ」


「は、はい」


「はやく来なさいよ!」


 ディルセアがそう呼んでいる。


(とはいえ、あのリゼルダインとガーランド相手に俺とレンドの剣では...... そう思って使えるお金で、新たな技能【返響】《リフレイン》を手に入れたが...... レンドやイオリシア、ディルセアの遺物レリックや魔法の方がよかったか...... いや最悪の時買えるように確保しておくべきだな......)


 俺はそう思い直し、歩き出した。



 冒険者ギルドのゼアルード支部に着く。


「えっ? Aクラスのカイトさまパーティーですか! し、少々お待ちください!」


 受付が奥へと走っていくと、奥から男性が慌ててやってきた。


「お待たせしてすみません。 私はゼアルード支部のギルド長【タルメイユ】ともうします」


「カイトです。 ルードランドの大きな依頼がなくなったので、ここゼアルードの依頼を見せていただきたいのですが」


「ああ、なるほど、確かにAクラスの方ならばそうでしょう。 そうですね。 この国にもダンジョンマスター討伐の依頼はございます」


 そう言って何枚かの書類と地図を持ってきた。


(【バリスイ砂漠】、【リグエの荒野】、【ゾルフレアの遺跡】か)


 俺はディルセアにそれを見せた。 するとゾルフレアの遺跡を指差す。


「では、ゾルフレアの遺跡をお願いします」


「ええ、ですがこの遺跡...... 今まで生還したものがいませんが」


「かまいません」


「わかりました! さすがAクラスに最年少で到達した方々だ!」


 そうタルメイユは感嘆した。


「ああ、それと...... この国にブラムがいるようです」


「えっ? あいつが」


「誰だ? レンド」


「ほら、冒険者狩りをして逃げたあいつです!」


「ああ、あれか...... なぜこの国に」


「わかりません...... ただ、最後に見かけたとき、この国の騎士たちと行動していたようです。 我々も追っているのですが、見つけたら捕縛のほうお願いします」


(この国の騎士...... 匿われているのか。 なんのために)


「わかった。 見つけたら捕縛しておこう」


 俺たちは依頼を受け、ゾルフレアの遺跡へと向かうことにした。



「なぜゾルフレアの遺跡なんだディルセア」


「文献にあった。 ゾルフレアはかつてリサーラ王国の王宮があった場所なの」


 そう地図を見ながらそう言った。


「リサーラ王国の王宮...... それならば宝玉があるやもしれませんね」


「今までもかつての王国が保有していたからな」


「ええ、宝玉はかつて四大国と呼ばれた【宝殿の国リサーラ】【魔導の国バルグエラ】【創生の国スリアム】【不死の国サイグレシア】にあったものよ」


「サイグレシアって、あのリゼルダインの使う流派のあった国か」


「ええ、ゼノフォスさまが言ってましたね」


「サイグレシアは唯一、滅んだ文明の中から残っている大国です」


 イオリシアはうなづく。


「だが、宝玉はないようだな」


「ええ、かつてかなりの領土を持っていましたが、力を失い、宝玉も失ったのでしょうね」


(やつらはその領土の復興を目論んでるのか)


「......もし宝玉を奪われていたら」


 レンドがそう考え込んだ。


「最悪、待ち伏せもあり得るな」


「そうね...... でも手がかりはそこしかないわ」


「そうですね。 万全に対策をして向かいましょう」


 みんながうなづく。


(しかし......)


 言い知れぬ不安が、心の中にこの荒れた大地のように広がっていった。


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