衆議院 内閣委員会(20××年・集中審議)



C党 秋本議員


秋本議員

「私はまず、今回の政府方針に対し、根本的な疑問を申し上げたいと思います。

 政府は、能力者を一律に登録し、場合によっては収容し、さらに専門の取締り庁を設けると言いますが、これは遺伝的資質を根拠とした国家による管理であります。

 法務大臣、これは生まれ持った遺伝子を根拠にした差別的政策ではありませんか。」


河辺法務大臣

「御質問にお答えいたします。

 政府としては、人権尊重を大前提としており、決して差別的思想に基づくものではございません。

 あくまで公共の安全を守るため、必要最小限の登録制度を設けようというものでありまして、現在も与野党からご意見、ご指摘をいただき、適切な法律を策定しているところでございます。」



秋本議員

「必要最小限と言いながら、登録は強制でしょう。自ら望んで発現したわけでもない人々に、国家が『危険人物』の烙印を押す。

 これは人権侵害以外の何物でもありません。

 法務大臣、能力が未発現の子どもまで登録対象とするおつもりですか。」


法務大臣

「詳細は今後の立法に委ねられますが、未発現の段階においては原則として対象外とし、発現が確認された者に限ることを想定しております。

 子どもへの過度な制約は、人権上の観点からも能力の危険性を勘案し、慎重に検討すべきと考えております。」



秋本議員

「次に総理伺います。政府は新たに『特異感情能力対策庁』を設立するとしています。

 これは事実上、能力者を集めた軍事組織ではありませんか。

 警察や自衛隊とは別に、武力を持った新庁をつくることは、軍拡路線そのものと捉えられても仕方がないとか思いますが、その点はどうお考えですか。」



木田内閣総理大臣

「お答えいたします。

 特異感情能力対策庁は、あくまで国内治安の維持を目的とする治安維持機関であり、軍事組織ではございません。

 憲法の平和主義を逸脱する意図は一切なく、むしろ既存機関では対応困難な事案に適切に対処するための組織であります。」



秋本議員

「総理はそうおっしゃいますが、実際には銃火器に勝る力を持つ者を集めるわけです。

 国民や国際社会から見れば、それは武力以外の何物でもない。

 防衛大臣、仮にこの庁が自衛隊と連携すれば、実質的な軍事部隊になるのではありませんか。」


防衛大臣

「お答えいたします。

 現在も立法中でありますが、私の知り得る範囲では、連携は平時の情報共有や治安維持、災害救助に限定され、軍事的作戦行動に従事することは想定していないと、承知をしております。

 あくまで国内の安全確保を目的とする補完的機能であります。」



秋本議員

「補完と言いながら、実際には武力行使の最前線に立つのではありませんか。

 次に外務大臣に伺います。

 能力者の存在は世界各国でも確認されております。

 これは人類共通の資産であり、本来は国際協調の下で管理すべきです。

 なぜこの国だけが囲い込むのですか。」


日比外務大臣

「お答えいたします。

 国際協調の必要性は十分認識しておりますが、各国の発現状況や制度整備に大きな差があり、現状世界の能力者の7割以上が我が国で確認をされております。まずは国内で安全を確保することが急務であります。

 その上で、国際的なルール作りについても議論を進めてまいります。」



秋本議員

「甘い認識です。

 こちらが能力者を国家の戦力として抱えれば、諸外国から見れば軍拡に等しい。

 必ず警戒され、やがてはこちらを敵視するでしょう。

 総理。能力者庁の設立は、むしろ戦争の火種を撒く行為だと思わないのですか。」



木田内閣総理大臣

「そのような意図は全くございません。

 むしろ透明性を確保し、国際社会に対し説明責任を果たしながら制度を整えることで、不安や誤解を生じさせぬよう努めてまいります。

 国民の安全を守るために必要な措置であることをご理解いただきたいと存じます。」



秋本議員

「総理、各大臣の答弁を聞いて、非常に焦燥感と恐怖、不安を感じました。このままではこの国は他国と軋轢を生じさせることは必至です。そしてその先に待つのは、戦争、軍国主義の再来でしょう。我々国民はそんなことは望んでおりません。是非とも国民目線に立って考え直していただきたいと思います。以上で終わります。」

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Chromatin Code 〜特異感情能力の世界〜 爆撃機 @nihonihonihonese

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