特異感情能力対策庁職務執行法


第一章 総則


(目的)

第1条

 この法律は、特異感情能力対策庁(以下「特対庁」という。)の職員による職務の執行に関し、その基本事項を定め、もって国民の生命、身体および財産の保護ならびに公共の安全及び秩序の維持に資することを目的とする。


(基本原則)

第2条

 職員は、法令に従いその職務を誠実に執行し、必要最小限度の権限を行使しなければならず、これを濫用してはならない。


(定義)

第3条

 この法律における用語の意義は、特異感情能力対策法(以下「特対法」という。)において定めるところによる。

2 この法律において「能力行使」とは、特対法に規定する特異感情能力の発現又は使用をいう。


第二章 職務執行

(職務の範囲)

第4条

 職員の職務は、特対法に定める任務の遂行に必要な範囲に限られ、次の各号に掲げるものとする。

一 特異能力に関する犯罪および違法行為の防止、検挙及び危険の排除

二 特異能力事案に対する制圧及び鎮圧

三 特異能力者の保護、救助及び支援

四 未成年能力者に対する保護措置

五 特異能力に起因する災害・事故の対応

六 薬剤の管理及び違法薬剤の取締り

七 大規模災害その他国家的緊急事態における救助及び支援

八 国際協力及びICPOを通じた国際手配の遂行

九 その他特対庁長官が特に必要と認めた任務


(他機関職員への準用)

第4条の2

 警察官、自衛官その他国の機関に属する職員であって、特異感情能力を有し、かつその能力を用いて公務を行う者には、この法律中職員に関する規定を準用する。

2 前項の場合における能力行使については、特対法及びこの法律に従うものとし、当該者はその所属機関の長を経由して特対庁長官に報告しなければならない。


(職務質問)

第5条

 職員は、特異能力に関する犯罪又は違法行為を行い、又は行おうとしていると疑うに足りる相当な理由がある者を停止させ、質問することができる。

2 前項の質問の結果、その者が特異能力を有すると疑うに足りる相当な理由が認められるときは、職員は、能力の発揮を現認していない場合であっても、当該者に対し登録の有無を確認するための質問をすることができ、必要があると認めるときは、特対庁、特対庁支局、特異能力対策訓練所、特異能力研究所、又は警察署若しくは交番への任意同行を求めることができる。

3 前項の規定による質問に対し、当該者が正当な理由なく回答を拒み、かつ甚大な被害をもたらす特異能力を有すると強く推認される場合で、急迫かつ重大な危険が発生するおそれがあるときは、職員は、緊急制圧を行うことができる。

4 前項の緊急制圧については、特対法第14条、第30条その他の規定を準用する。


(立入・検査)

第6条

 職員は、特異能力による危険が発生し又はそのおそれが切迫していると認めるに足りる相当な理由がある場所に立ち入り、必要な検査をすることができる。

2 正当な理由なくこれを拒む者がある場合には、特対法その他の法令に基づき必要な措置をとることができる。


第三章 特異能力の使用


(能力使用の原則)

第7条

 職員は、特対法第14条の規定に従い、能力の行使は必要最小限度の範囲に限られなければならない。


(能力使用の要件)

第8条

 職員は、次の各号のいずれかに該当するときに限り、能力を使用することができる。

一 自己又は他人の生命若しくは身体に対する急迫不正の侵害を防止するため必要なとき

二 特異能力により重大な危険が発生し、又は切迫しており、他に代替手段がないとき

三 現行犯人を制圧し、又は逃走を防止するためやむを得ないとき

四 その他特対法において能力使用が正当と認められる場合


(階梯四以上の能力行使)

第9条

 階梯四以上の特異能力を有する職員は、特対法に基づき、特対庁長官の許可を受けなければ能力を行使してはならない。

2 前項にかかわらず、能力を行使しなければ重大かつ急迫の危害が発生し、又はその拡大が避けられず、かつ許可を得るいとまがない場合は、この限りでない。

3 前項により能力を行使したときは、直ちに特対庁長官に報告しなければならない。


(使用の制限)

第10条

 職員は、能力の使用に際し、危害を加えることのないよう十分に配慮し、やむを得ず危害を与えるときは、その程度を最小限にとどめなければならない。


第四章 災害・有事対応


(災害派遣)

第11条

 地震、風水害、火災その他の大規模災害に際し、人命の救助又は被害拡大の防止のため特異能力の使用が特に必要と認められるときは、内閣総理大臣の指示に基づき、特対庁は必要な措置をとることができる。


(地方公共団体の要請)

第12条

 前条の事態において、都道府県知事又は市町村長は、特対庁の派遣を内閣総理大臣に要請することができる。


(有事における対応)

第13条

我が国に対する武力攻撃その他これに準ずる事態が生じ、又はそのおそれが切迫している場合で、防衛等特異能力の使用が特に必要と認められるときは、内閣総理大臣は、閣議の決定を経て、特対庁に必要な措置を命ずることができる。


(行動の範囲)

第14条

第11条及び第13条の場合における特対庁の活動は、次に掲げるものに限る。

一 住民の避難、救助及び保護

二 生活必需物資の確保及び輸送

三 火災、倒壊その他の被害拡大の防止

四 自衛隊、警察その他関係機関の活動の補助

五 その他国民の生命又は身体の保護に不可欠と認められる行為


(特例使用)

第15条

 第11条及び第13条の場合における能力の使用は、第三章の規定にかかわらず、必要と認められる限度で緊急に行うことができる。

2 前項による能力使用を行ったときは、職員は直ちに特対庁長官に報告し、長官はその結果を内閣総理大臣に報告しなければならない。


第五章 雑則


(報告義務)

第16条

 職員が能力を行使したときは、政令で定めるところにより、使用の時期、場所、内容及び結果を特対庁長官に報告しなければならない。


(訓練・教育)

第17条

職員は、特対法に基づき、特異感情能力対策訓練所における教育及び訓練を受けなければならない。

(政令委任)

第18条

この法律に定めるもののほか、職務執行に関し必要な事項は政令で定める。

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