第二章

第二章 オーガ


 「バレンタイン……」

「はいエルディア様」

 あのおとぼけエルディアの顔が 恐ろしい程に引き締まっていた

「どう……思う」

「はい……魔物はハウルのあと見かけられておりません……あのオーガは?」

「うん!嫌な予感がする!探せ!対峙する」

「御意」

 バレンタインが 落ちゆく日に溶けた

「ちょっとエルディア!」

「ティリン」

 エルディアの 気が 変わっている

 覚醒体のおでましか?

「エルディア……いい?あんたは あんたなんだからね」

「ふ……ごめんティリン」

「いいの」

 ふぃぃいぃ!

 指笛!

 見つけたらしい……

「いってくる」

 パチン……エルディアの頬が鳴る

 エルディアは パチクリとした

「わたしもいく!ひとりで背負わないで!」

 指が小刻みに振るえている

 怖いんだろう

 ぎゅ!

 エルディアは その手をとった

「行くよ」

 2人は校庭をかけぬける

「バレンタイン!」

 エルディアが駆けつけた

 鼻をつく 魔の匂い

「エルディア様ティリン様」

 巨大な魔物がそこにはいた

 すがん……

 棍棒が 一薙ぎすると メキメキと樹が倒れていく

「ただのオーガではありません!」

「うん!ハウルの匂いが する」

「どう……なさいますか?」

「被害が出る前に片ずける!」

 エルディアの手に 魔法陣

 エルディアの ポケットから タクトが 飛び出した

「エルディア!」

「ティリンを頼む」

「了解!」

 があぁぁぁ……

 オーガが吠えた

 がどん……

 棍棒の 一撃が 大地を削る

「炎帝」

 ティリンの手が 魔法陣を くんだ!

「ばかティリン!」

 的になるようなものだ

 エルディアは 猛り狂ったオーガの 一撃からティリンを まもった

 そして

「ティリン……隠れておいで」

 耳元でささやく

「はい」

 ティリンが 数歩下がった

 あのエルディアが 負けるはずないのだ

 ファイヤーストーム

 まずは小手調べ!

 ハウルの手のものであれば 結界が発動するはず

 炎の渦が オーガを 焼こうとする

 ブン……

 結界……あのルーンは?

 やはりか?

 エルディアが 手に剣をよんだ

「バレンタイン!」

「は……」

 潰す……いいな?

「御意のままに」

 だん……

 地をけると ソーラーフレアを 纏いこませた 剣の一撃を見舞う

「ぐぅあああ……」

 一刀両断と思いきや オーガの 結界は予想以上に かたかった

「エルディア様」

「ん……」

「あの結界は……」

「趣味悪いですよ……お爺様!」

 エルディアが 苦笑いした

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