エルディアと時の塔 蒼月を継ぐもの
古都綾音
プロローグ
プロローグ
「エルディア!」
鈴をふるような声がして ティリンの手が バッチンと エルディアの 少し広くなった背を叩く
「おー!おてんばティリン」
タクトが 羽を震わせ ちょっとスモーキーな声を上げた
エルディアは 居眠りで減点された魔法テキストを さすりつつ うつらうつら歩いていたもので ゴン……!
柱に額をぶっつけた
「もう!いたずらやめてよー!」
エルディアが涙目でティリンを 睨んで叫ぶ
たんこぶ確定
真っ赤っか!タクトが へへんと 笑ってる
クレハは後から冷静に
まーた 居眠り大王のご降臨ですねー!
とメガネを指でくん……とあげた
「いいよもー!最悪だー!明日居残りだー!」
エルディアー!通称なんて付ける
太陽王ライト様の 孫!笑劇王とかつけよーか!
タクトーやめてー!
半泣きエルディア 大反論
お爺様に笑われる
たぶん!わっはっはってー
やだよーー!
お祖母様なんてきっと エンドと 目を細めて やっぱりエルディアは かわいいわねーとか同情するんだー
わんわんと 泣いてエルディア君 相変わらずの落ちこぼれ
あのハウルの時の英雄譚すっかり薄れております
アメジストの指輪からバレンタインが すぅん……と現れた
またやらかしたのですか……エルディア様……
嘆くかと見えるのに苦笑して
エルディアのおでこを
ヒールと癒してくれる
だけど鼻たれエルディアの顔を見て噛み殺す笑いが 吹き出した
「貴方様は……いっつもドジでおマヌケでらっしゃる!」
だーれもフォローしませんが
エルディア君
かの英雄王ライトの孫でございます
「いじわるー!」
声とて少し 変わる頃
なのにエルディアは天然100パーセント あの覚醒時の貫禄は 何処に消えましょう?
ティリンはニッコリ笑い
「週末実習は港町ルナマーレよ!エスコートよろしくエルディア!」
と 人差し指を立てた
「べーっだ」
エルディア様!
バレンタインが髪をかきあげため息
帝王学その5
威厳の章お忘れですか?
「王たるもの威厳の気を纏うべし」
ティリン様完璧で
バレンタインが 拍手した
「いーもん!」
タクトがエルディアの髪を引っ張ると
「お后候補生にまでおいてかれるぞ」
とたしなめた
「あーあ苦手な 分離魔法どーしよ」
聞いていても聞こえない振り
エルディア君すねると
まさに精神年齢 真っ逆さま
「おしえよーか?」
甘ったるい声に
振りかえれば
学校のマドンナと名高い シェンナ
「いいのよ!わたしがおしえるもの!」
ティリンが キンキンと 叫んだ
そしてエルディアの 手を掴み
かっつかっつと 前庭へ
「ナイス!シェンナ!」
クレハが グッジョブサイン
「これくらいしないと進展しないでしょー」
シェンナがおほほ と 笑って バレンタインに 腰をおる
大精霊様
エルディアとティリン
くっつけ隊に参戦されませんか?
は?
バレンタインは ぱちぱちと瞬くと
お后候補生!クレハ殿
どーして辞退するんです?と 見下ろした
「あの二人相思相愛 カップル確定でして……私は バレンタイン様が狙いです」
はい?
バレンタインが 飛び退いた
「ルナマーレのエスコートお願いしますね!」
頬を染めたクレハ嬢 確信犯な上目づかい
バレンタインはガックリと項垂れた
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