第7話 決断を前に
『【
PACは、
特に、魔導士のみが作成可能な魔導具の概念が存在し、それによって自作カードの幅が大きく広がっていた。
様々なカード構成を考えるなかで、幾度も試行錯誤を重ねていくうちに、俺はひとつの閃きを得る。
それは、装備系カードの仕様を調べていたときだった。
装備カードであれば、移植手術のような面倒な工程すら当然のように
そう――もし、人型ユニットに骨型の装備品、それも脆弱ながらも特異な能力を持つ
しかし、ペンタモーフ・シリーズにおける
一部のプレイヤーが、戦闘用の
ようやく最初の骨格型魔導人形を創り出したときには感動すら覚えたが、それでも成果としては到底満足できるものではなかった。
失敗の原因は明白だった。素材のレアリティ不足。
通常の
この問題を解決する方法は、たった一つ。
最高レアリティである
呪われた素材を、その呪いごと“
結果として誕生した〈アバドン〉は、起動のために常時闇属性マナと土属性マナを消費し続け、遠距離攻撃手段を一切持たないという、
ゆえに、俺はかつて有用だった固有スキルを捨て、必要コスト分のマナを得るためだけに[
◇
俺とユキさんが落ちた階層から九つ上のフロア。
現在、俺たちがいるのは、いわゆる“モンスターハウス”だった。
目の前には、無数の魔物たち。
その入り口に、俺はただ一人立っていた。
迫り来る魔物たちへ、俺は足裏に砂を敷き詰め、滑るように距離を詰める。
右手を貫手の形に構えると、砂——“
突き抜けるように放った一撃が魔物の腹を抉り、捻じれるように引き裂く。
全身に蝗砂を纏いながら、蹴り上げた足が刀へと変じ、振り上げた拳を鈍器のように変える。そして、襲い来る魔物たちを次々に切り裂き、打ち砕いていった。
砂塵が舞い、血飛沫が散り、俺の歩んだあとには、ただ屍だけが残る。
「お疲れさま、PQたん。〈アバドン〉の調子は大丈夫みたいだね」
無事にモンスターハウスを突破した俺は、外で待っていたユキさんと合流する。
「だいぶ勘が戻ってきたかな。まあ、勘と言ってもゲームの、だけどね。レベルもようやく4、〈アバドン〉もレベル2になった。あとは、どちらのカードを使うか……」
俺たちが落ちた最初の階層を隅々まで調べた結果、上への階段だけを発見。仕方なく進んでみたところ、レアリティこそ変わらないものの、敵の強さが少しずつ強くなっているのに気付いた。
通常の
だが、この迷宮はその逆。
つまりは明らかなイレギュラーであり、地上へ戻るために何階登ればいいのかすら確信が持てなかった。
そこで、新たに“名付け”が可能になるまで俺のレベルを上げ、それから新たなユニットを召喚することに決めたのだが——迷っているカードは二つ。
【
属性の異なる三体の女性型ユニットを同時に召喚できるカードだ。
メリットは、俺とユキさんの属性と被らない戦力を複数増やせること。さらに元が一枚のカードだからか、名付けが一回分で済むこと。
デメリットは、それぞれの骨格型魔導人形を召喚するのに、俺の魔力と生命力が回復するのを待つ時間が、かなりかかる点だ。
それと人数が増えることで、飲食の問題がより深刻になっていく。
水は、ユキさんが保有する封印札のなかに水属性の
しかし、食料が問題だった。
ユキさんが結晶化させていた魔物を素材を得るために砕いてみると、その全てが溶けるように魔石へと転じた。その姿を見て思い出したのだが、ゲームでは
できるだけ早く、迷宮を踏破する必要があった。そのためにも、戦力の拡充は必須だ。
そこで、迷っているもう一つのカードがこれだ——
【
俺とユキさん——魂なき女神の現し身の特徴を併せ持つユニットを生み出すことができる
俺が持つ最後の『
だが、こうして生まれるユニットは、ゲームでは必ず幼稚園児ほどの年齢の幼児だったのだ。
カードとはいえ、現実になった今、子供を戦わせることに葛藤が生まれていた。
——どちらを選ぶべきか。
俺たちは、迷っていた。
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