第10話 コロッケウマイ
姫様の部屋に戻ると、あいつがいるはずなのに真っ暗だった。
逃げたか……?
やはり、目を話したのは間違いだったか?!
どちらにせよ姫様をお守りしなくては__!
「姫様! 私から離れないでーー」
大丈夫。あいつからは、強いオーラなど何も感じなかった。私なら絶対勝てるはずだ。
でも、どうしよう。私のせいでなんかあったら……。
私は全集中で周りを警戒する。
どこから、どう攻撃されても守れるように。
「ねぇ、アセロラ。あそこを見て」
突然、姫様がそう言った。
警戒を緩めないように気をつけながら、姫様が指さした先を見てみると、あいつがいた。
暗くて気が付かなかったが、座った姿勢のまま寝てるみたいだ。
動いてこちらに来るものばかりに気を取られたせいで気が付かなかったらしい。
姫様は、パチンと指を鳴らして電気をつけた。
そして、あいつの方にゆっくりと近づいていった。
「ひっ、姫様!?」
「だーいじょうぶよぉ。そういえばこの人に電気の付け方教えてなかったわね」
姫様はあいつのそばにしゃがんで無褒美にも顔を覗き込んでいる。
「アセロラー。この人以外と可愛い寝顔してるわよ」
はあ、あいつの寝顔……?
姫様がおいでおいでしてるから行くけど私は全く興味ないんだから。
「姫様、もうちょっと警戒心を……はっ」
可愛い。思った以上だった。
今は何も手入れされていないけど、顔のパーツの位置もいいし素直に磨けば光る原石のようだと思った。
「ね? 可愛いでしょ?」
「ま、まあ」
「あら、素直じゃない」
「そんなこと無いし」
姫様はフフッと笑って視線をあいつに戻す。
たまに姫様は私の心をすべて見透かしているんじゃないかって思う。
「というかこんな姿勢で寝てるの可哀想よね」
「まぁ」
「でもその前に体を綺麗にしたいわね。アセロラ。あれをしてくれる?」
「えーー、しょうがないな」
「ありがとうね」
「コロッケウマイ」
私がそう唱えると、あいつの下に魔法陣が現れて、あいつの体を水が覆った。
そして、消えた。
「できた」
「あら、アセロラも上手くなったわね。偉いわ」
「そんなこと無いし」
「そんな事あるわよ」
「うん」
そして、姫様はあいつを起こした。
あいつは寝起きも意外にも可愛かった。
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買いに行ってやるよぉ!春巻き 夢宮ことね @yume_miya-kotome
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