第48話 お前のその耳が、弟に似ている!

「……最低のご主人様、流石に気持ち悪いのですが」


俺はいつものように、秘書のメイドであるメイのロングスカートの中に入って、考え事をしていた。


え?


いやこう……、メイを立たせてさ。


ロングスカートの中に潜り込んで、太ももを撫でてやりながら考え事をね?


メイドの股に挟まれながら頭をひねると、良いアイデアがポンポン出ちゃうなぁ〜!!!!


「……あの、ご主人様。お客様がいらっしゃっております」


「アポ無しの客は全部カスなので会いませぇ〜ん!!!!」


あー最高。


メイドの太もも〜!


経産婦だが、魔法だの何だので美容の限りを尽くさせて、身体はバッチリ!


まだ何回も抱ける身体だぜ!


まあ経産婦の弛んだ腹もエロいっちゃあエロいんだけどさ。


でも最近はドクとクルエルが、回復魔法の応用でクローン人間を作る実験を始めててさあ。


この実験に成功すると、その副産物で不老化とか肉体改造とかもできるようになるっぽくてな。


もちろん、それまでのロードマップは遠いんだが、そうなったら嬉しいよね。


女とかマジで、三十代くらいまではまあイケるけど、基本的に若ければ若い方が良いからね。


なんか現代社会はポリコレだの何だのと、綺麗事言った方が勝ちコンテストが大流行りしていたが、マジな話、痩せてて巨乳の若くて美人のおねーちゃんが一番最高だよ。


きったねえデブスの黒人ババアが美人コンテストで優勝しているのなんて、誰も得しないんだよな。


ってかさあ、顔の良し悪しなんて生まれつきのもんなんだからさ、自分が不細工だなと自覚したら、頑張って学を積むとか資格を取るとかして欠点を補おうとするのがまともな人間の思考回路じゃない?社会側に「ブスである私を持て囃せ!」ってのは流石に幼稚過ぎるって言うかぁ……。


ま、そういう訳なので、その研究の副産物で、妊娠の痕を消すような美容整形魔法が最近できてな。


今はそれを民間にも放出して、保険なしの高額美容整形として手下の公社にやらせているところだ。


かなり流行ってるよ。やっぱり美容は儲かるな、マジで。


よく、美容外科やってる奴は医者じゃない!みたいな綺麗事を言う奴が居るけれどさぁ、美容外科みたいな仕事の方が真面目に人命を救うお医者様よりも儲けられちゃう社会構造の方が悪いんじゃねーの?それこそ、そういう時に社会の方を変えようと頑張るべきなんだよね。ブスを持て囃すだかどうだかみたいなくだらない話じゃなくてさあ。


「ご主人様」


「うるせぇなあ……、何だよ?」


俺は、メイのロングスカートを暖簾のように捲って、外側を見た。


そこには……。


「兄さん、何やってんねん……?」


「うわ、弟」


弟がいた……。




こいつは、あ〜……。


演出とか考えるのがもう面倒だな。


普通にこう……、弟だ。


俺の三歳年下、十八歳。


王都にある学園を卒業して、実家であるワルバッド辺境伯領に帰ってきたらしい。


見た目は、糸目で長身。蛇のようなイメージで、俺と同じ黒髪の男。CV石田。


「13kmや」とか言いそうなタイプのこの男は、普通に原作キャラである。


まあ原作では、ワルバッド辺境伯の弟だとバレると迫害されると思って偽名を名乗り、喋り方も変えていて、それでありながらも主人公を裏切ったり協力したりする役割で……。


そして、原作そのものには登場しない。


何言ってんの?って思うか?


ではお教えしよう。


『アストレア・オデッセイ』と……、『アストレア・オデッセイ Re:BORN』のお話を……。


まあ普通にアレです、名作がリメイクされて帰ってきた!的なやつ。


リボーン、つまりはリメイク版。キャラは3Dになり、オープンワールド風味になって、アクションゲー要素を追加しながら帰ってきた!みたいな。


そもそもね、ワルバッド辺境伯領の『新大陸』も、無印アストレア・オデッセイには影も形もないからね。追加ワールドである『新大陸』は、リメイク版の要素だ。


そしてこの弟も、リメイク版での追加キャラだった……。


リメイク要素は、「貴族なのに一門衆ゼロなのはあり得ないでしょ」と、そういう現代人の重箱の隅をつつくようなツッコミに対応すべく、ツッコミどころの補完要素が多かったな。


で、こいつもまた、沈みかけの泥舟であるワルバッド辺境伯領から逃げ出したという設定の存在。


名前は。


『イトゥワール』……、イトゥワール・ワルバッドだ。


「どうしたのかなぁ〜?ワルバッド辺境伯の血筋から離れたいってんで、偽名を名乗って王都の学園に通って、喋り方まで変えてたイトゥワール君がぁ、ワルバッド辺境伯領に何用かなぁ?!!??!!」


「ままままま!細かいことは置いといて!家族やんけ!なあほら兄さん、兄様!酒とか飲まん?西のええワイン持ってきててェ……!」


「『先の無いワルバッド辺境伯領を捨てて、王都で商人になる』とか言ってませんでしたっけねえ?!!!!」


「いやいやいやいや!記憶違いやないでっか?!!!!ボクほんまにこう、兄さんの力になりたいなーって思うとりましてェ……!」


「俺さぁ、勝敗が決してから勝ち馬に乗ろうとするのとか、良くないなーって思うんだよねぇ!!!!」


「まあまあまあまあまあまあまあまあ!!!!ちょい、ちょい待って!!!損させんから!!!ボク、めっちゃ働くさかい!!!」


す、すごい……!


我が弟ながら、土下座に一切の躊躇いがない……!


ここまで手慣れた土下座、こいつは一体今までどれほどまでゲザってきたんだ……?!


まあ別に暇潰しにパワハラしているだけで、怒ってないんだけどさ。おこってないよ♡


何が凄いかって、こいつ、土下座するタイミングがクソ程的確なんだよな。


ワルバッド辺境伯領が磐石になってから、捨てたワルバッド領に戻ってきて、速攻で俺に土下座って訳でしょ?利を見切る目がすごいね。やっていることはカスですが……。


裏切り者って楽じゃなくってぇ、裏切った後は重用はされないし、最悪はその場で斬られる訳で。


つまりは、原作でホイホイ何度も裏切ったり再度味方になったりを繰り返していたこいつは、ポテンシャルはあるんだろうな。


まあ、何度裏切っても許す優しい(笑)主人公サマの頭がイカレポンチというだけの可能性も微レ存だが……。


なんかさぁ、毎回言ってるけど、統治者の仕事って基本的に非情で悪寄りだから……。


悪いことしても許します!みんなお座り公平です!じゃあダメなのよ、上に立つ人間ってのは。


恨まれてでも信賞必罰!外患誘致とかは日本だって今だに「死刑」の判決が下るんだしさあ。


でもこういうことを公の場で言うと、「非情な政治家!悪者!」って、なーんにも分からんバカな市民共にリンチされちゃうからね。本当に支配者は大変だ。


しかし……、弟。


一度裏切った奴はまた裏切るんだよな。


でも、能力はあるから……、武力を持たない感じの、裏切られても死にはしないところの要職につけてやるか。


「イトゥワール!お前がどーーーしても!って言うんなら、まあ、そこそこの立場にしてやらんこともないぞ?ん?」


「ホンマでっか??!?!!いやー!やっぱり、持つべきものは優しいお兄様やなぁ!!!よっ、帝国一ィ!!!」


「あ、ウチは、一度仲間になったなら裏切ったら普通に殺すし、暗殺者とかもガンガン送るからな。それは覚えとけよ」


「アッハイ……」

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