百合

 ぼくは、男性を女体化する能力を手に入れてしまった。その際に自身も女体化、女装で使っていた服はあるけれど、女性用の下着はもちろん持ち合わせていなかった。


「着る物は私が貸しますからね。下着も含めて私のを使ってください(マーキング)」


「う、うん……」


 仕方なく、お嬢様に下着を借りることとなったわけだが、その彼女の目線がやたらといやらしい。


「好きな人が私の服を着ている姿、下品ですがムラムラしますわね……」


 女体化して、早くも童貞……処女喪失警報がぼくの脳内に鳴り響いていた。


「……もう我慢なりませんわ! 風磨さん、あなたを今から襲います!」


 数分も経たずにお嬢様が襲いかかってきた。ううっ、男性だったら力の差で押し除けれるのに、女体化してるから筋力が弱体化して……


「えっちょっと待って!?」


「安心してくださいませ。本当に女の子になってるか確認するためなので! さらに、私たちは婚約するのですから、早いか遅いかだけですから!」


「あっ、ああ……!?」


 こうしてぼくたちはあっさりと一線を超えた。


「ううっ、もう、ダメ……! イかせて……!」


 お嬢様の責めはねちっこいものだった。絶頂を迎える直前までしごいておきながら、いざ果てそうになると寸止めしてくるのだ。おかげて生殺し状態である。


「もうダメ、イキたいんですか? そうですよね、苦しいですよね? じゃああと五分、我慢しましょうか!」


「ま、まって……!」


「口答えしたのでもう五分追加ですね!」


 ぼくは激怒した。このドSお嬢様に制裁しなきゃいけないと決意した。だが今は状況が悪い。逃げて体制を立て直さなくては。


「マーキングのキスを鎖骨に刻み込みますわね。チュッ、これで風磨さんは私のものですわ~」


 お嬢様がぼくの鎖骨にキスマークを刻み込んできた際、隙が見えたので逃走を図った。


「まあ、逃げてしまいましたわね。しかし、私を刻み込むという目的は達成しましたし、今日はいいでしょう。日数をかけてじっくりと調教しがいがあって良いですわ」


 ぼくは肌着一枚のまま、一目散と屋敷を出て、街中までやってきていた。ここは東京だ。早々見つからないはず。


「はぁ、はぁ、酷い目にあった。お嬢様を振っただけなのにどうしてこんな目に……」


「うわっ、イチモツがない!?」


「女の子になってる!?」


 街中がにわかに騒がしい。それもいきなり女の子になったという叫び声が聞こえてくる。もしかして、ぼくの能力、オートで発動するタイプ?


 ていうか、男の娘モンスターも『女の子になったぞー!』と喜びの咆哮をあげている。つまり、男の娘も男性判定で女体化対象ってこと?


 

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