女体化能力大暴走〜男の娘は生えてるから尊いのに、無くしたらただの女の子じゃないか
片山大雅byまちゃかり
告白
ぼくは西園寺家の執事。つい先ほど、お嬢様に告白されたがフったところである。
「どうして……私のこと嫌いなのですか!?」
「違います。ぼくはお嬢様が好きです! しかし……」
そう、確かにお嬢様は魅力的である。でもそれ以上に……
すみませんお嬢様。ぼくは、男の娘しか抜けない体質なんです……
そんなこと言えるわけがない。というか言いたくない。男の娘しか性欲を湧き立たない体質なんて。
春山飛優(はるやまひゆう)ちゃんという男の娘系アイドルに脳を焼かれたぼくは、いつのまにか箱推しになって、普通の美少女でも抜けなくなってしまったのだ。
しかも身近に、男の娘かわいいモンスターがたくさんいる。狂わない方がおかしい。
「好きなのにどうして付き合うのはダメなのですか!?」
都合が悪い問いを投げかけてきたので、ぼくは無言で俯いた。
「まさか、執事だから!?」
お嬢様は都合よく解釈してくれたようだ。
「ならば、一か八かです! 風磨さん、今すぐこの棒を持ってください!」
「はぁ? 棒? よく分かりませんがいいですよ?」
棒だ。色はピンクだが、それ以外はなんの変哲もない棒だ。最遊記に出てくる如意棒がまさに似ているだろう。伸びない如意棒はただの棒だ。
そう思いながらぼくは棒に触った。その瞬間、ぼくの身体中が光り出した。
「賢者検定合格ですわね! これであなたは賢者になりました。身分差もクリアです! 晴れて私と結婚できます! 女体化能力ゲットですわね!」
はっ、えっ、はっ? まるでなにを言っているのか分からない。女体化?
賢者というのは性別を操る能力者というのは知識としてはあるが、それは数百年に一人の確率でしか発生しないと聞いたことはある。
「風磨さん、イチモツをご確認ください」
「あっ、男性に生えてる棒がない!? 女の子になってる!?」
「風磨さんの女の子姿、かわいいですわ~!」
しかも胸が重い。デカいのが二つある!? 足元が見えなくて怖いんだけど?
でもどういう原理で? 色んな魔法を見てきたけど、こんな魔法はみたことない。
「西園寺家秘密の道具、女体化ステッキ! 世界を混沌にするという理由で数百年の間封印されていた呪物ですわ!」
女体化ステッキ? 確かに、現代にこんなものが出たらやばいなと思った。
この世界は男の娘系モンスターがのさばる世界。ファンタジーみたいな世界。
ただ、特に危害は加えてこないので共存は出来ている。みんな女の子になりたいだけの種族なのだ。
それがこのステッキで女体化?
まず思ったのは、この能力、男の娘も女体化させてしまうじゃないか……
「ダメだ! こんな能力! 今すぐ戻してください! あとこのステッキは処分しましょう!」
「強く否定しなくても。あなた、隠してるようでしたが、女装を趣味にしているの屋敷の人達にはバレバレでしたよ?」
「えっ?」
「先日もお部屋のカギを開けっぱなしで女の子の服を着てましたしね」
「勝手に覗かないでください!?」
「こっそりと女装アカウント運用しているのも知ってます! 先日は東京で開かれた大会にも出場してましたよね?」
にっこり微笑んでヤバい情報を吐き出すのやめてほしい。なんで知ってるの?
「某RPG風に言うと『漆原風磨(うるしはらふうま)は女体化能力を手に入れた』、ですわ! ちなみにもうこの棒を使わなくても、一定距離に殿方が近づいてきた時点で女の子にできます! よかったですわね!」
「よくないよ! 男の娘に近づいただけでも女体化させるって! 死刑宣告じゃん!」
「そしてこの棒に選ばれたあなたは、選ばれしお人です。私の婚約者に相応しいでしょう!」
「いやそれはおかしい」
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