鉛筆

たまらなく怖かった

紙と鉛筆の 先端の全て

あの紙の切れ味 鉛筆の先端

枠からはみ出すごとに削り出される

赤黒さ


たまらなく怖かった

その赤黒さに沈むこと

暗闇の中で水は溶け込み

体が無抵抗に押しつぶされる感覚

一本の細い糸になる感覚

足の先から 削り出される感覚


だけれど一番怖かったこと

自分がそちら側であること

なんの否定の余地もなく

そちら側であると言う断罪


自覚した時から

もはやその赤黒さは

無数の粒に姿を変え

その球体に見える先端を

全方位へと突き刺していた

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地球休暇 @nyuke

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