第2話 モニカがサンタクロース
12月24日になってしまいました。
今夜は
でも、モニカはしょんぼり。
「サンタたんいまてんでちた」
「しゃーないな。サンタも忙しいんやろ」
「かあたまもきてくれまてん」
「それもなあ。母ちゃん、遠い実家で自宅
「かあたまのいないぱーちーなんてつまらないでち!」
「わがままいうてもてしゃーないやん」
「かあたまこれないなら、モニカがかあたまのとこへいくのでつ」
「それはあかんわ。イブのパーティーは王族勢ぞろい、ここ王城で
「かあたまはいないのでつ!」
「いや、だから、それは……」
「サンタたん! かあたまがほちいでちっ!」
「気持ちは分かるけどなあ」
「かあたま!!」
「あー、もう! どないせっちゅうねん」
ガチャ
ドアが開く。
ケルスは黙る。
姫さまの私室にノックもせず入ってくるのはだぁれ?
「もう! モニカ、外まで声もれてるよ」
「ねえたま!」
モニカとは一回り以上、年の離れた姉姫のリジェルでした。
「なぁに? クリスマスイブのパーティー前にして」
「サンタたんいまてんでちた! かあたまもきまてん!」
「ああ、まあ、ね」
「かあたま! かあたまがいないならぱーちーもいらないのでつ」
「わがままいってたらプレゼントもらえないよ?」
「プレデデント! かあたまがいいのでつ!」
「うーん……。ま、それはあとでね」
「あとってなんでつかっ! ごまかさないでほちいのでつっ!」
「あとあと。さ、行こっか。おめかししないとね」
「いーやーでーちっっっ!!」
「はいはい」
さすがは姉君。イヤイヤモードのモニカも連れていきました。
部屋に残されたケルスは首をかしげましたが。
パーティーは夕暮れから。
夜の
「もう! モニカったらずっとむくれてるんだから」
「ぶぅ」
「ブーたれてたらかわいい顔がだいなしだぞ」
「キャハハハ! ほっぺぷにぷにダメなのでつ!」
「よし、笑った」
私室に戻った姉妹はじゃれあっていた。
モニカはイブのパーティーが始まってもむくれていて、父王やリジェルの双子の兄ヘイエルはおろおろ。
見かねたリジェルは「任せといて」とモニカと部屋に戻ってきたのでした。
ケルスはそれを黙って見ています。
「よし! ちょうどよく抜け出せたことだし、行きますか」
ポンと手を打つリジェル。
「どこへでつか?」
「ンフフフ」
「ねえたま、いじわるでち!」
「まあまあ。……じゃあん! これ、なあんだ?」
「あかい、おようふく?」
「そそ、これ着てね。次はこれも」
「あかいおぼうち!」
「最後にこれも」
「しろいおひげ! サンタたんでつ!!」
「そそ。で、わたしはこれと、これ」
「キャハハハ! あかいおはなでつ! あたまにつの! ねえたまトナカイたんでつ!」
「そりはこれ、魔法のホウキね」
「なんでつか? なんでつか?」
「まだわかんない? つまり……」
「ちゅまり?」
「サンタがいないなら、モニカがサンタになればいいってわけ」
「モニカが?」
「そ」
「モニカがサンタたん! モニサンでつ!!」
「アハハハ! それいい! じゃ、行くよ、モニサン」
「だからっ! どこへでつか!」
「決まってんでしょ? モニサン、サンタさんは何をする人ですか?」
「プレデント! いいこへはこびまつ!!」
「そいうこと。いい子のとこじゃなく、いい子が、だけど。母さまのとこへひとっ飛び、いきましょか」
「かあたま! やったぁ!!」
「二人乗りはちょっと危ないけど今夜は特別な夜だし」
チラッとケルスを見て、リジェルはニヤリ。
「
「ねえたまと! かあたまのとこへ!」
「そそ。モニサンが、モニサン自身をプレゼントにして母さまにお届け~~」
「モニサンがプレデント!!」
「これぞ聖夜の奇跡ってね。父さまと兄さまには悪いけど」
「ねえたま! はやく! はやく!!」
「じゃあ、ちゃんとつかまっててね」
魔法のホウキにまたがり、
「ま、ええか、それで。ハッピークリスマスや」
ケルスもあとを追って走ったのでした。
(おしまい)
【モニかな小劇場クリスマス特別編】モニカはサンタさんになにをねがうのかな? 歩 @t-Arigatou
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