読書だって娯楽なんだよ!

肥後妙子

第1話 今更ながら

 平成初期に小学生だった世代です。つまりおばさんです。おばさんの思い出話、よろしければ読んでみてください。内容は地味で、教室での小学生同士のやり取りの記憶についてです。


 小学生だったある日、私は言いました。ファミコン、スーファミなどのゲームはやるのは難しいし面倒くさいと。

 それを聞いた隣の席の男子(Z君・仮名)は怒ったように言いました。

「そんなこと言ってゲームをやらなければいつまでたってもゲーム下手なままだよ!」

 私は答えました。

「うん。別に良いけど……」

 Z君は更に続けました。

「別に良いってじゃあどうするの!?普段何やってんの!?」

「え?本読んでる」

 なんか変な反応だなあと思いつつ、私はそう答えました。


 会話は続きました。

「本読むっていうけどそんなことで楽しいの!?」

「??うん。楽しいよ」

「……え……嘘……」

「???ああ、教科書とかをずっと読んでるわけじゃないよ◯◯◯◯文庫とかだよ?」

 (◯◯◯◯文庫とは、ラノベに近いジャンルを扱っていた、当時存在したレーベルです)


 Z君は腑に落ちないような表情を浮かべていましたが、それで会話は終わりました。

 それを最近思い出して、あのZ君の反応はなんだったんだろうと考えたんです。

 思いついたのは……。


 Z君からすると、私は言い訳をしてゲームから逃げて、仕方なくつまらない読書で時間を潰している人に見えてたんじゃなかろうかという結論でした。


 更に、私がスーファミの類が面倒と言った時の彼の怒ったような態度を思い返すと、私はゲームをサボる怠け者のように思われたのではないか?という考えも思い浮かんだのです。


 まあ、怠け者なのは合ってるんですけど、娯楽の好みに関してそう思われたらなんか違和感があるような……なんて、おばさんになった私が昔の小学生男子の心境を勝手に憶測してるだけなんですけどね。


 でも、私の憶測が正しいと仮定すると、Z君にとって、ビデオゲームのたぐいは、それだけ出来て当たり前、やるのが常識のものだったのかなと思います。そして彼にとっての常識から逃げている隣の席の私……。それに腹がたったのかな?という結論を私は出せると気付いた訳です。


 私の結論が正しいとすると、Z君にとっては読書という私の趣味はかなり不可解に感じたのかな〜と思います。だから楽しいよという私の言葉が信じられなかったのかな?と。これで憶測として筋は通るような。


 以上、読書離れが危惧されて久しいですが、危惧され始めの頃にすでにこんな価値観を持った子供がいたかもしれないという話でした。根拠は私の古い記憶に基づく憶測なので心許ないですが。


 それにしても、読書好きだからゲーム好きの人より良い子供時代が過ごせる、という訳でもないんです。私は中学から不登校でしたが、Z君は普通に通学してたようです。(交流が全く途絶えてしまったので、あやふやな表現しかできず)


 ゲームが凄い害になるとも言い切れませんし、ゲームが苦手な私もやってみたくなり、挑戦してクリアできたゲームも二本だけあります。

 なので(攻略本頼みでしたが。そして攻略本を読んでる方がプレイより楽しかった)ビデオゲーム類の楽しさも少しは分かります。


 ただ、世の中で読書離れがこれ以上進まないと良いな、と思います。せっかくカクヨム活動してるのですし。


 読書だって立派な娯楽なんですよー!

 

        終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

読書だって娯楽なんだよ! 肥後妙子 @higotaeko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画