彼女が……。2

龍淳 燐

僕の彼女を寝取ろうとした間男に……。(改稿第一版)

 高校生の僕には、仲が良い二人の綺麗で可愛い幼馴染がいる。

 一人は可憐、もう一人は綺麗。

 皆には内緒だが、二人とも僕の恋人だ。

 中学時代に紆余曲折があったものの、これまたいろんな意味での修羅場を乗り越えて、二人と恋人になったのだ。

 どうだ、羨ましかろう。

 最初、僕はそう思っていたのだが……。

 デートを重ね、くちづけを交わし、肉体関係を持って順調に仲を深めて三年程の月日が経った頃のことだ。

 段々と二人との関係に慣れ、刺激が薄れ、段々と性行為自体が作業のようになってきていた僕達三人は、このままでは不味いと現状打破をするべく、様々なプレイを試す様になっていった。

 ここだけの話、可憐には性行為の最中、僕に虐められる事が特にお気に入りで、そっち方面に行ってしまった。

 今では、「ご主人様と性奴隷」という関係になってしまった。

 でも普段はラヴラヴ100%なんだよ。

 だが、ここに思わぬ落とし穴があったんだ。

 可憐の方は問題がないとはいえないけど、順調に交際を続けているんだが、綺麗との関係はかなり複雑になってしまった。

 ここだけの話、綺麗は寝取られ&寝取りがお気に入りになってしまったのだ。

 学校の皆には、『幼い頃からの幼馴染』で通して、先ず浮気相手を見繕う。

 そして、僕にはBSS(僕が先に好きだったのに)の振りをさせるのだ。

 そして、いよいよ寝取られる段階になって僕が登場して、寝取られた振りをする。

 その後、僕が浮気相手から綺麗を寝取り返すのだが……。

 僕からすると、綺麗の身が危険にさらされるので止めてほしいんだけど、一向に言うことを聞いてくれないんだ。

 そして、今日も……。

 花蓮と間男が抱き合ってキスを交わそうとした瞬間。

 教室のドアを開き、僕が乱入する。

 危なかった。

 もう少しで唇同士が触れるところだった……。

 「綺麗! ど、どうして……」

 ショックを受けたような表情と震える声。

 「ごめんなさい、彼のことが好きなの……」

 俯きながら、理由を述べる綺麗。

 「彼女はもう俺のもんだ。陰キャは向こうに行ってろよ」

と間男が宣う。

 本当のことを知らないというのはある意味幸せなことだなぁと実感してしまう。

 「そ、そんな……」

 崩れ落ち膝を着く僕。

 「気分が削がれちゃった、今日は帰りましょう」

 「おう」

 綺麗と間男が僕の脇を通り過ぎていく。

 人気のなくなった教室で、僕は立ち上がるとニヤリと笑う。

 さてと、今この瞬間から僕は綺麗をあの間男から奪う間男になる。


 一週間後、綺麗を僕から寝取ったと思い込んでいた間男(実際には肉体関係にも至れなかったが……、可哀そうに)が、綺麗を僕に寝取られて脳破壊されていた……。

 そして、再び僕と可憐と綺麗の三人の生活が戻ってきた。

 「綺麗、もう危ないことはやめろよな。何時も何時もうまくいくとは限らないんだから……」

 「だって、寝取り返されるときのご主人様って野性的なんだもん」

 そう、綺麗も可憐と同じく「ご主人様と性奴隷」という関係になってしまっていた。

 方向性はかなり違うが……。

 綺麗としては、自分のために僕が振り回されるのが楽しいらしい。

 「ぶう、綺麗ちゃん、いい加減にしないとご主人様も怒るよ」

 「ゴ、ゴメンゴメン、以後気を付けますって、可憐ちゃん、ご主人様」

 それにしても、間男たちよ、外見だけで女性を選んではいけない。

 内面を確かめた上で寝取りを掛けないと自分の脳が破壊されるぞ!

 え?僕はどうなのかって?

 脳破壊されたというより、脳が破壊された後に再構築されたってやつかな?

 どんな綺麗でも僕は大好きだよ。

 もちろん可憐もね。

 間男たちよ、いつか復活して、またどこかで会おう。

 「ねえ、今度は……」と綺麗が提案し、「やめなさいって」僕が注意する。

 「ムムム、それは良いかも……」と今度は可憐が興味を示す。

 もうこの二人は……。

 まあ、惚れた弱みってやつかな……。

 にしても、今度は百合でって、まあ、男に寝取られる心配はないけど……。

 ちょっと面白そうかも。

 「「ねえ、ご主人様。浮気は許さないからね」」

 「「浮気したら、男性の象徴、切るからね」」

 「じゃあ、今度は百合でなんて提案しないでよ。僕だって男なんだから、たまにはねぇ……」

 と、浮気を仄めかすも、二人の底冷えするような声色に、何故か興奮してしまう僕だった……。


改稿部   セリフの追加および変更

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