第25話 5人の容疑者
「へぇ。
こんなサイトがあるとはねぇ」
スガワラさんは
僕がパソコンで開いたサイトを覗き込むと
驚嘆の声を上げた。
「それで。
彼女が亡くなった妻鳥小絵さんかい?」
「う、うん」
「・・それにしても。
こんなことを言うのはアレだけど。
よく撮れてるねぇ」
「う、うん?」
スガワラさんの言葉の真意がわからず
僕は首を傾げた。
「だってこの5枚はどれも盗撮なんだろう?
その割には
随分と上手に撮れてると思わないかい?
相当に腕のいいカメラマンなのかな」
「まさか褒めてるわけじゃないよね?」
「ははは。
ごめんごめん。
それで。
君はこれが原因で
彼女が自殺したと考えてるわけかい?」
「そ、それは・・わからないけど。
でもさ。
もしその可能性があるのなら。
僕はこの『ミモザ』が誰なのか
突き止めたいんだ」
「なるほどねぇ・・」
スガワラさんは腕を組むと
改めてモニターを覗き込んだ。
僕は缶コーヒに口をつけた。
書斎の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
その静寂を破るように
スガワラさんは大袈裟に一度だけ
ゴホンと咳をした。
「そうだね。
これらの画像からわかることは、
その投稿日の規則性かな?」
「えっ?」
僕は改めてスガワラさんの顔を見た。
「投稿日はすべて仏滅だね」
「仏滅・・」
次の瞬間。
僕の頭に1つの考えがよぎった。
「まさか・・。
『No.4』がうちの学校の生徒・・」
「うん?
何だいその『ナンバーフォー』って?」
「知らないの?」
僕はスガワラさんに
巷を騒がせている猫殺しについて
説明した。
「へぇ。
『仏滅の虐殺』か。
相変わらずマスコミのセンスは酷いね」
「う、うん・・」
僕が頷くとスガワラさんは小さく笑った。
「まあ。
単に偶然かもしれないけどねぇ。
それよりも。
この『ミモザ』を見つけ出すのは
意外と簡単かもしれないよ」
「えっ!ええっ!」
僕が目を丸くすると
スガワラさんは軽く頭を掻いた。
「まず確認するけど。
今どきの中学生は
学校にカメラを持ち込んでいるのかな?
だってそうだろう?
これらの画像は
すべて校内で
撮影されているようだからね」
「スマホだ・・」
僕の呟きにスガワラさんが頷いた。
「だとしても。
君の学校ではスマホの持ち込みは
許可されているのかい?」
「それは・・。
校則では禁止されてるけど。
守ってない生徒もいる」
そう答えながらも
僕の頭の中は目まぐるしく回転していた。
僕の家は亡くなった母の方針で
高校生になるまでは
スマホを持つことを禁じられていた。
そして。
僕と同じように家庭の事情で
スマホを所持していないのは
男子の中では良司と道成寺の2人。
つまり。
『ミモザ』は残った5人の男子の中にいる。
僕の目がモニターの中の
1枚の画像を捉えた。
それは机に広げた教科書を
若干前屈みになって読んでいる少女を
正面やや上から撮った画像だった。
少女の制服の胸元から
緑色の下着と白い谷間が覗いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます