SFな宇宙船が、ファンタジーな星に来たら撃ち落とされた。
弓と矢で。
どういうことー!? って所から始まり、手に汗握る戦闘、おじさんと少女の全くラブの気配はないバディアクション、現地住民とのいざこざとてんこ盛り!
さて、現地住民。
素晴らしい人外さんがいっぱいですよ!
まず、ツノが生えてます。妖精もいます。ドワーフもエルフもいます。ペガサスも空を飛んでます。ミミズやイモムシも超巨大。人外パラダイス。
道中の森のシーンでは、人間たちにかかわらない生態系もチラ見えて、密かに胸熱でした。
調査担当の宇宙船クルー同様、私もこの星を探検している気分になりました。
第一部完結、ここまででも綺麗に終わっていますが、また続きが読めることを楽しみに待っています!
時は宇宙開拓大時代。人類は新たな資源と技術獲得を目指し、広大な宇宙を駆けていた。個性豊かなクルーたちを乗せた宇宙船フィアーピッカー号も、その一つ。母星と似た好条件の環境が期待される未知の星へ降り立った彼らは肩を組み、意気揚々と胸躍る大冒険へ……
──失礼、誤字が。
降りたことには降りた。しかしそれは哀しいかな、『撃墜』と呼ばれる状態でのこと。彼らのピカピカでかっこいい宇宙船は残念ながら、御伽話のようなファンタジーが息づくその惑星の現地人たちにより、見事に破壊されてしまったのだった──しかも、えーと、弓矢で。
SFテクノロジーの武器にも負けない、超ヘンテコでパワフルな現地の生き物たち。質量保存の法則?なにそれおいしいの??といった顔で宇宙船ごと転移させてしまう魔法使いたち。そして360度どこから見ても完璧にかわいい妖精(※個人の所感が多く含まれます)……などなど摩訶不思議な『現実』に、リアリストなクルーたちは戸惑うばかり。
でもそれはその惑星の人々から見ても同じこと。お互いに未知の技術を持つ者同士、はらの探り合いが始まります。それでもやはり異邦者の立場は弱く、クルーたちの一部は実質の人質として城に囚われてしまう。
外での活動を許されたのは戦闘員の少女キウリャと、凄腕メカニックのヂンペー。ふたりは仲間と自分の明日のため、そして破壊された宇宙船の修復のため、国から出される様々な依頼をこなすことに。
しかしこのふたり、バディを組むにはクルー内でもピカイチの相性の悪さで──。
***
ドラゴンと妖精が空を舞うファンタジーと、ビーム銃やドローンを駆使して駆けるスタイリッシュなSFがスーパーミラクルガッチャンコを果たした奇跡のお話。いやーーもうこれだけで面白すぎますっ!!
視点となるカメラは宇宙船のクルーたち側にあるので大体はSF視点からの進行となりますが、彼らの動揺が手に取るように伝わってきてとても愉快ですし、「ファンタジーってちゃんと考えたら結構こわいな……」とゾッとするような場面も。あーあ、仕事辞めて異世界転移してえなーなんてイキがってすみませんでした。甘くないぜ、ファンタジーワールド。
と思えば魔法を使いこなす現地惑星人たちにもクルーたちを恐れる理由がたくさんあり、まさにお互いがお互いにとって『ファンタジー』な状態。このバランスがどちらかに偏っていないので、ずっと油断も退屈もない緊張感ある状態が続きます。本当に塩梅がお上手です。これらがお互いの交渉や牽制の場に影響してくるのですが、女船長のアモットや現地の戦士ズカイナルなど、品位あるキャラクターたちの交渉のスマートさは見ていて気持ちがいいです。クルーたちは星の資源をすべて支配下に置いてやろうなどとは思っていないので、平和的な歩み寄りを目指しています。そこも知的でとてもいい。
とはいえもちろん静かな毎日にはならず!現地のダンジョンをテクノロジーのチカラでぐいぐい攻略したり、好奇心旺盛なドワーフたちと技術交換会をしたり、気難しいエルフたちと面会したり。来訪者としての賓客生活など夢のまた夢。キウリャとヂンペーはぶつくさ言いながらも、仲間たちとの再会を目指してファンタジー世界を縦横無尽に走り続けます。あとめちゃくちゃ可愛いチッチィという妖精がいるんですが、彼女について語り始めると魔法のスクロール10巻分は必要なのでここでは割愛します。チッチィーーーッッ!!!!
国からの依頼を順調にクリアし、現地民たちからも少しずつ信頼を得られた頃。ふたりは厄介な事件ばかり引き起こしているというきな臭い人物たちに遭遇。どうにもこちらを意図的に邪魔している彼らの正体、そして目的が明かされた時、キウリャたちが取った選択は……。
壮大な世界の中を、現地の風を感じながら冒険しているかのような爽快感。そしてどの種族にも根差す、譲れぬ信念や優しさ。お互いを尊重し、守り合うことの大変さ。はじまりはライトでポップな印象からはじまるストーリーですが、第一部完結という現時点でも作者さんの描きたい世界がはっきりと展開されており、とても上質な満足感を与えてくれる作品となっています。
重厚な西洋ファンタジー、ヒリつく剣戟シーンが見事な和風妖怪譚を書き切った筆力ある作者さんがSFも上手いだなんて、神様はいじわる!(笑)……と嘆きたくなるのですけど、とにかく面白いので問題なし!神様ありがとう!!しかもこの物語、この質・ボリュームでまだ『エピソードⅠ』の状態とのこと。今追いついておいて絶対に損なし!
「私は第一部から知ってましたが?」と後方腕組み古参になりたい読者さまはぜひ、フィアーピッカー号のタラップ前に集合〜っ!
異星探索のために航行中の宇宙船が辿り着いた星は、魔法に妖精にドラゴン、さらにはドワーフやエルフが住む「ファンタジー」な惑星だった。そんなところに墜落してしまったら、いったいどうなる??
そんなこの作品の面白さは「SF」と「ファンタジー」の融合。異世界ファンタジー的世界が舞台ですのでジャンルこそ「異世界ファンタジー」ですが、二つのジャンルの要素が上手く絡められ、「いいとこ取り」の楽しさが味わえます。
さらに面白いというか「素敵だな」と思えるのは、人間と異世界人の異文化交流の様子が丹念に描かれているところ。技術も文化も生物的要素も、お互い、何もかもが未知。お互いを見交わす視線は好奇心だったり、尽きない興味だったり、友好的交流であったり、または疑いの眼差しであったり。時にあたたかく、時に一筋縄ではいかない相互の交流が「ああ、こういうことありそう」と、とてもリアル。
それでも根底に流れるものは敵対と反発、相手を抑圧しようとする意識ではなく、「お互いを深く知った上で最善を尽くそう」とする理性であるのが心地よい。だから、これはとても理知的な物語だと感じます。さらに言えば、正反対の者どもが奏でるセッションとはこんなに楽しいものか、という爽快感。
ドラゴンが舞う空をドローンが飛び、魔法が効力を持つダンジョンやドワーフの街でロボットが蠢く。この唯一無二の世界で、ふたつの異なる存在たちはどう協力し、どんな関係を紡いでいくのか。そして主人公たちはこの星から無事に帰還できるのか。
見どころたくさん、ストーリーの行末に興味津々。みなさまもどうぞこのわくわくを共有してください。
文明の発展は人へと多くの利便性を与えます。
同時に必要となるのは、それらのための資源。
そしてそれらを自身で賄えなくなるならば、外へと求めていくわけで……。
そんな開拓調査のための宇宙船、フィアーピッカー号の一員であるキウリャとヂンペーの活躍を私たちは見守っていくこととなります。
未知の惑星に到着するものの、自分たちの知る科学文明とは異なる、剣と魔法の力により宇宙船は墜落。
仲間とも分断された二人は、仲間との合流と母星への帰還を目指し、行動を開始していきます。
彼らを監視兼サポートをしてくれる妖精のチッチィ、穏やかながらも強大な戦闘能力を持つ戦士ズカイナル。
異なる価値観をそれぞれに持ちながらも、彼ら異星人と時に交流をもってそれを理解し、時にぶつかり合いながら互いの思いを知り、キウリャたちはその足を止めることなく、様々な出来事に遭遇していくことになります。
さて、彼らの進む先に待つものとは?
その答えはぜひ、皆様自身の目でご確認くださいませ!
『飛べない鳥のセッション』は、SFとファンタジーの「おいしいところ」をぎゅっと詰め込んだ異文化バディ冒険譚です🛸⚔️
宇宙船ごと撃ち落とされ、剣と魔法の世界に放り込まれた調査隊――という時点でワクワクが止まらないのですが、そこで終わらず、「科学文明側」と「魔法文明側」の価値観や常識のズレを、物語としてしっかり描き切ろうとしているのが好印象です📚🌟
ただ強い敵と戦って倒すだけではなく、「この世界のルールでは何が正しいのか?」「こちらの“当たり前”は、本当に普遍なのか?」と問いかけてくる感じが、読み味に奥行きを与えています🌍💫
撃ち落とされて“飛べなくなった宇宙船”、自分たちの技術が通用しない“未知の世界”、思い描いていたキャリアや理想から外れてしまった“人としての挫折”――そうしたもの全部が「飛べない鳥」に重ねられているように感じました🐦🎶
けれど、飛べないからといって終わりではなく、地面を歩きながらでも、現地の人々や文化と“セッション”するように関わっていく。音楽のセッションのように、相手の音(=価値観)を聴き、自分の音(=科学や信念)を重ねていく。そのイメージが物語全体に流れていて、「未知の世界を力でねじ伏せる」のではなく、「違いを抱えたまま共鳴しようとする」姿勢がとても心地よかったです🎷🌈