物書きの民話集

@eeooef125

物書きの民話集

とんだ田舎町だしくったなぁ、、、昭和末期バブルが崩壊寸前の頃俺は左遷させられた。俺の名は坂田太郎だそれなりの名門大学をでて大きな総合商社の本社で働いたが大きな仕事のミスで役職をすべて解任され晴れてこの田舎に来たわけだが支社と呼べる者じゃないでも地方銀行の支店ぐらいのおおきさがあるしそれなりに片付いてる私は部長に着任状と挨拶をしにデスクに向かった小太りで若干歳を食いすぎた中年男は着任状を貰ってすぐにファイルを持ってキーボードを叩いた、、なんだこんな田舎でも大きい仕事はあるのかよチクショーいいとこなしかよ。まあ途上国の孫会社に出向させられるよりはましだな、歯痒い気持ちだが定時きっかりで仕事を終わらして山奥にある辺鄙な社員寮に帰り社員食堂で弁当を頼んでいると調理の婆さんにあんた仕事もう終わったんかいな早いな俺は答えたここには着任したばかりなんで定時に帰ったんですよと婆さんは良かったな明日からはきついからサービスで唐揚げつけたるでと言ってくれた甘ダレの味の濃い唐揚げだった。次の日何気なく普通に出勤して定時に帰ろうとしたが部長に何してるん?民話はやったんか?と聞かれた民話と聞き返すと部長は呆れて言ったそんくらいのことも本社で教えてくれなかったんまぁええは民話はそこのファイルに書いてるパソコンに移すだけやから第三の付箋のとこまでやって今日は帰り明日早よ来てやれよ。と言って何処かの部屋に行った。経理部かなと思っていると彼はどでかいファイルと資料と図鑑を持ってきて俺に渡したそこに訳が書いてるから学生の時古典どうやった?俺は普通ですかね。するとすぐ部長はほないけるはずや頑張れよーと肩を叩いてデスクに戻った民話ってなんやろうファイルを開いた瞬間驚愕した民話には桃から生まれた娘が鬼を退治に鬼の里に行く話やいじめられていた鶴を助けて天の城に行く話など何処か見覚えのある話ばかりだった何気なく部長に聞いたが適当にはぐかされた。それからの仕事は単純だった。腐っても本社勤めだった私は仕事が早かった。それも営業やプレゼンや接待なんかと違う民話をパソコンに打つだけなんだから。それでも定時一時間まえの4時代くらいにおわる。早ければ3時半には終わった。終われば自分の時間にできた。特に疲れもないし急いでもないがすぐ階段を駆け降りて会社ビル玄関にある自販機のミルクコーヒーを買ってすぐさまデスクに戻って120円のコーヒー缶を30分くらいかけて同僚とたわいもない会話をするこれが娯楽もクソもないクソ田舎での唯一の楽しみだった。その生活を一年程すると俺はクソ田舎なんて言わなくなった。それは人間関係の良好したのもあるし何気に都会の息苦しさをすて伸び伸びと暮らせるこの町が好きになった。だか気がかりがまだあった。民話についてだ。民話と言ってもこの町と全国では話が違う。もちろん若干のズレは分かるが登場人物やはたまた国が違った話もあった。私は一年程で約数百の民話をパソコンに起こしたが未だこの民話作業が終わる気配がない20人ほどいる同僚も同じ作業をしているわけだから単純計算で2000は超えてるいるいや私が来る前の作業も合わせるともう数万は訳しているだろう。それに最近気づいたが民話の時代が現代に近く進んでいる。室町や江戸の話ばかり訳していたのに何故か民話に黒船や汽車などの単語がで始めた前私が訳した話には侍と百姓が電信を探していた。もう堪らん。意味がわからない楽で気楽なこの仕事とこの町は好きだが仕事は疑問を持たず与えられた仕事をこなすだけだと考えてた私も流石にこの仕事の意味を知りたくなった。だが部長にいくら聞いても答えてくれなかった。・・俺が栄転になったら教えたるから待っとけ代わりに飯奢ったる。それを数回したうち俺も民話への奇妙な好奇心も薄れた。民話集に触発されて歴史小説を書くという趣味が出来たのもあるし同僚の瞳さんと付き合い始めたからだ。私の歴史小説は昔話をベースに書くことが多かったそれも自分で改変して舞台や登場人物を変えてみた民話集を目指して面白いおかしいあの民話に私は虜になっていたのだ。歴史小説を不定期だがある出版社で掲載し出したあまり購読数は増えていないがある一定の人気があるらしく購読数も殆ど変わらなかった。私はどこで人気なんですか?と出版社の担当に聞くと何故か官公街が多いらしい理由は分からぬがインテリであるいけすかない官僚やサラリーマンが教養欲しくて買っているんだろう。私の小説の物語をあたかも本当かのように語るのだろうか?私は学生時代ノンポリだったが学生運動に惹かれていた思想や信念はなかったし社会や大人に訴えたいことも表現したいこともなかったが学生運動のカリスマである同期と話す時だけ私は身体に熱風が吹かれたみたいに痺れていた。そのカリスマも大学や警察からの執拗な追いかけに疲れて自殺した。大学3年の時だったちょうどその頃左派が爆破テロを起こしてから学生運動は沈静化した私はカリスマが嫌った大人になるために一生懸命大会社を目指して就活をしたそして商社に入社してからの数年間そんな記憶をすて仕事に打ち込んでいた。そんな青春を今更求めて書いているだけだってことに今更分かった。それから3年が経ち元号が変わった頃この田舎町にも慣れて職場も良好の関係になった昨日は部長が役員となりこの田舎町を去る日最後に聞いてみたあの民話についてとその業務について・・部長曰くこの町は仕事が少ないから地元に奉仕の意味合いで民話をデジタル化して地域復興の手助けをしているとこのおかげで私は役員になれたし昇進してこの町から出た人もいるらしいだがそれは建前でこの町はしょもない町だからそんな民話もないし他に良い点もないから仕方がなくやってただけだとだがこの町にはある本当の民話では道祖神が悪さをする彼等の近い人物に姿を変えて嘘をついて町の人々を騙す幕府の役人や盗賊達を懲らしめて天罰を与える話があると教えてくれたそう言えばそんな話誰かに聞いたなと思った最後に私に囁いた。君が道祖神かと思ったよ坂田とか太郎とか民話によくあるからねでも違ったよ最近僕が役員の辞令を受けたのと同時に聞いたんだ新人がこの支社に来ると。そう言うと部長はそれでは。と言ってスタスタ早歩きで帰ろうとドアノブを掴んだ瞬間ドアが開いたそこにはスーツ姿の男が私達を見ていた。どの話からしようか弁明しようかいやこの際ユニークに民話集から話そうかどうせあの本当の民話だって誰かが適当に考えたんだ俺らとやってる事は変わらん。そう思って口を開けた瞬間そのスーツの男は二つの紙を出した俺は目に入った瞬間驚愕して開けた口が戻らなかった。そこには逮捕令状と私の小説のチラシとそれぞれ書いてた。これは道祖神とやらの悪戯か?そしてこれは天罰だなと頭によぎった。しかしそのスーツの男は初めて口を開いてこう言った。刑罰です。

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