report1
私的研究の経過を書き記そうと思っている。
つまらない実験、実証、研究の繰り返し。
この後のページは研究が成功以降のことを書き記そう。
それまでの経過は別紙の論文かレポートで書き記すつもりだ。
だが、これだけは書き記そう。
私は死人を甦らす、死の克服。
即ち人間の蘇生を研究対象として行っている。
人間は何故、千年、何百年と繁栄しているのに、死をいつまでも克服できないのか。
死を乗り越えられないのはこの世を構築した某が、ボタンを掛け間違えたのでないかと思うほど、世界は未完成に等しい。
子供の頃そう思ってから、今にかけてずっと続けている。
死の克服というものは、文化によっては
シシャについて
シシャは蘇るときは上から下まで確認を行えば、何が死因で分かるか程度には肉体は再生し蘇生する。
呼吸は生前の記憶行動として行っている。
場合によってはしない個体も存在する。
蘇る前の予兆、前触れなどはおそらく感じ取れないであろう。
※おそらく自然発生のものではない。
シシャは死ぬまでの記憶はあるが、記憶というよりは記録として、脳内に個人の図書館として残っているような状態であり、それが蘇生後の人格とは十中八九ならない。記憶を持ったまま新たな人格として稼働するだろう。
生前の記憶は、彼らにとって他人の日記帳のようなものであり、あくまで情報を得るためのものでしかない。
これらに関してはシシャを使って既に実証済みである。
ちなみにシシャの状態で受けた傷は当然の如く癒えることはなく再生もない。
傷ができたら直接縫って、塞ぐしかない。
加えて病気などはせず、身体の腐食の進行などはない。体を鍛えても肉体そのものは死んでいるため筋肉がつくことがない。肉体的成長、老衰は死亡した当時のまま時が止まるために成長過程は発生しない。
ただ情報は脳に確実に得られている。
※情報のインプットは問題なく行われる。
彼らに関しては現状、まだ分からないことでいっぱいだ。
例えるならば、種類は?どうやって生まれるか?
これから私はシシャに関して詳細に研究調査を行うことにする。
判明したことがあれば、随時この手記に書き記して行くつもりだ。
ただ、現在の文明では理屈がわからない、解明できないというところは一時的にそういうものとして扱っていく。
その時は、これを読んでいる君が研究してくれてもいい。
名前もわからない誰かの手記に、シシャに関してそう記されてあった–––。
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