ホビーアニメ主人公の父親はみんな行方不明!! 〜さっさと家に帰ってこい〜

宗一郎

プロローグ:ホビーを極めし父たち

《ホビスフィア》——


それは、この世すべてのホビーに“魂”を与える多次元情報の源。


カード、コマ、プラモデル、四駆、ヨーヨー、メンコ…。


遊びと創造を司る無数の世界は、

このホビスフィアが生み出す魂核コアによって支えられている。


だが、増え続けるホビーにより、その均衡が揺らいでいた。

魂核の力が弱まり、このままではどのホビー世界も“ただの玩具”に戻ってしまう。


ホビスフィアは判断した。


『最もホビー才能の高い者を呼び寄せ、

強き魂で世界を支える、新たな守護者を決める』


四つの世界で綴られている、四つの物語。

そこにはホビーを操り、時に友情を育み、

時にライバルと死闘を繰り広げ、時に涙する、主人公たちがいた。


そして——。


そんな四つの世界から選ばれた、伝説の人物。

ホビスフィアにより、守護者の候補として選ばれたのは、

行方不明とされている、だった。




一人目の男。

烈堂れつどうショウヤ。

カードゲーム《エレメンタル・レガシー》の継承者。


鋭い目つきの長身。

風に揺れる黒コート、胸ポケットにカードケース。

赤い髪は無造作気味。


かつてただ一人“レガシアシフト”を完全に操り、五度の世界王者となった男。

寡黙だが、モンスターの魂と対話するかのような繊細な使い手。

切り札である『焔帝アグニス』は、彼の一族に受け継がれてきた魂のカード。

炎の紋章を継ぐ者として、“継承コード”の秘密を背負っている。



二人目の男。

轟田ごうだゴウイチ。

バトルメンコ《ソウルスラッグ》の豪腕王者。


筋骨隆々の坊主頭。

着古されクタクタになったジャージに、和柄の袴。

固く大きな手に、年季の入ったメンコ箱を持つ。


叩きつけた一撃が魂を揺らす、世界一のメンコ使いメンカー

裏面封印を極めた伝説のスラッガーであり、豪快な笑顔と人情深さを持つ。

“魂を宿す”メンコを、自分で作れる数少ない職人でもあり、

最強のメンコと名高い『雷霊スラッグ』も、彼の手によって作り出された。



三人目の男。

久遠寺くおんじジュウサク。

獣紋育成端末《ビーストエンブレム》の無冠の天才。


整った顔立ちの眼鏡の紳士。

白衣のようなコートを纏い、紋章デバイスを肩に装着している。

落ち着いた雰囲気で、柔和な目つき。


獣紋合成研究の第一人者であり、世界初の“三重紋章合成”を成功させた研究者。

研究に没頭するあまり、大会に出場しなかったため“無冠”だが、

その技術は世界の頂点に立つ。

人工獣紋フェンリスを作り上げた男でもある。



四人目の男。

紙縁かみぶちイオリ。

紙折りクラフト《フォールディングギア》の折りの神。


細身で物腰の柔らかい男性。

指先が長い“折師おりしの手”。

和紙のような質感のコートを纏っている。


神折シンフォールド”と呼ばれる究極の折式を、

世界でただ一人成功させた折師。

静かな微笑みと指先の狂いなき精度は、紙折り界でも比肩する者がいない。

元・世界折式大会の絶対王者であり、その技は今でも多くの折り師の憧れだ。



彼らは皆、誰よりもホビーを愛し、誰よりもホビーを極め、選ばれた者たち。



そしてその四人は今——

ホビスフィアの中心。

無数のホビーが渦巻くバトルアリーナへと、静かに降り立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る