第2話 隣の家

――――鶴崎マコト視点――――


 姉ちゃんと別れたあと、俺は自分の教室である1年5組に入る。



――――葉桜高校 1年5組。



 席に座ると、遅れて、朝風あさかぜハヤがやって来る。


「おはよう。マコト。」


「ハヤ。おはよう。昨日、言っていた転校生って?」


「ああ。何しろ楽器の演奏できる人らしい。…………正直羨ましいよ。楽器を演奏できるなんて。」


「楽器か…………。」


 すると、先生も入って来て、転校生を紹介する。


「では…………入っても大丈夫ですよ。」


「失礼します。」


 転校生を見て、ぎょっとする。


「あっ、さっきの…………!」


 小声で言うと、聞こえたのか、俺の顔を見て、笑みを浮かべて少し頷き、挨拶をする。


「はじめまして。僕は亀原かめはらケンジです。特技はギターの演奏です。よろしくお願いいたします。」


 ケンジと言う男子が挨拶をすると拍手が起こった。


「亀原ケンジか…………。」


「何? お前、知り合いなの?」


「うーん…………知り合いなのかな…………?」


「歯切れが悪いな。」


 ホームルームが終わり…………ケンジは俺のところにやって来る。


「こんにちは。えっと…………。」


「俺は鶴崎マコト。よろしく。…………それで、こっちは朝風ハヤ。」


「よろしく。ケンジ!」


「うん。よろしく。…………さっきはごめん。ケイは双子の妹なんだけど、性格が悪くてね…………。代わりに謝らせて欲しいんだ。」


「えっ。双子なんだ! 俺も双子なんだ。」


「そうなんだね。改めて謝るよ。…………ごめん。


「俺は良いけど…………。姉ちゃんが…………。」


「ああ。そうだよね…………。また会う機会があったら、謝らせて欲しいな。」


「わかったよ。姉さんには言っておくから。これからよろしくね。」


 俺たちは握手を交わした。



――――葉桜高校前 登下校坂道。



「いやあ…………良い奴だな。」


「そう…………良かったわね。」


 姉ちゃんはふてくされている。話を聞いたら、姉ちゃんのクラスにあの性格の悪い、ケンジの妹が入って来たからだ。


「もう! なんなのよ! あの女!」


 こりゃあ、しばらくの間は歩み寄りは難しそうだな…………。そう思いながら、俺たちの家に戻る。



――――鶴崎家。



 家に戻る。隣の家は引っ越しの作業をしている。表札を見ると、見覚えのある名前が書いてあった。



「亀原。」そう書いてあった。



「かっ…………亀原!?」


 するとそこに、あの2人がやって来る。


「ああ。マコト。隣の家だったか。」


「ふん…………あなたと近所になるなんて思わなかったわ。」


 知り合った友人がまさかお隣さんになるとは思わなかった。個人的には嬉しいけど姉ちゃんはあまり嬉しくなさそうだ。


「…………家に入るわよ!」


「ああ。ちょっと、姉ちゃん!」


 俺は姉ちゃんに無理やり、引っ張られ、家に入る。…………俺たちも双子。あっちも双子。どうなることか…………?

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にこあい〜ふたごとふたごの日常〜 宮来らいと @tukicolorful

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