dark night (闇夜)

こてつ

プロローグ 人類の終焉からの始まり。

2021年 12月

 世界が一変した。

 

 何処が、その始めなのか・・・誰も分からない。


 人間が人間らしく人を殺し侵略し、愛し守ろうと必死になっていた時、突如その変化は起こった。


 発熱、発作、そしてどうしようもない渇望。


 人が人を食しようと蠢くようになり、それが感染し広まっていく。


 世界は恐怖と不安に陥り、それを救ったのが人間の手により普及していたAIだった。


 AIの頭脳で急ぎワクチンを開発し、人々に接種を開始した。その事で感染を弱め、人類は辛うじて生き延びる道が生まれた。


 だが、一度できた感染の歪が簡単に元に戻る事はない。


 そのワクチンにより、生き延びた者は元の人間に戻る事はなく、身体の身体能力が発達した感情の乏しい人間となり、極端に朝昼の光に弱い生き物となった。その種族は『オウヴァー』と呼ばれた。


 そしてワクチンが聞かず、人を食す渇望を止められなかったものは、はぐれもの『アウト』と呼ばれ、『オウヴァー』と同じく朝昼の光が弱い化け物となった。


 感染を免れた『人間』。

 ウイルスの克服者『オウヴァー』。

 ウイルスに身体を奪われた『アウト』。

 そして人類の英知と権力を握った『AI』


 暫く世界は、この人間とAIとのせめぎあいが続き混沌とした地獄が支配する事になった。


 ×××


 世紀末が終わり3000年に入った頃。


「人間、オウヴァー、AIによる協定をここに結ぶ。」


 光のない人類の果てで静かに声が響いた。


 ようやく、暗闇を照らす希望の光が微かに灯ろうとしていた。


 ×××


 それからまだわずか20年余りが過ぎ、人類は少しずつ秩序を取り戻し、傷だらけの地球に生活の基盤を築いていた。



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