僕の初めての彼女は占い師

タッカーP

僕の初めての彼女は占い師

今日は時々行くスナックに誰もお客さんがいない。

[いらっしゃい、下田君!よく来たね]ママのアキさんの優しい声が響く。

ほどなくしてボトルキープしているハイボールを渡され、飲み進めていくと喋り上戸の僕が話し始める。

[アキさん、今誰もいないからいっぱい話してもいいですか?]

[勿論!]

[僕恋バナとかしたことなかったですもんね]

[恋バナねー、そもそもスナックでは恋愛を終えている人が多いからねー]

[現状の自分を10年前から見透かしていた女性の話なんですけど]

[何それ、占い師?]

[確かにそうかもしれませんが、呪いに近い感覚がありますね]

[へへへへへへ😂]


大学3年の初夏、紫陽花が満開になる頃に僕は人生初の合コンへ行った。女子大生3人と幼馴染の男3人の3対3である。

私は端っこの上座に座り、正面には黙りこくって話しかけても生返事しかしない女性、斜め前にはのちの彼女になる寺西香奈子、店員を呼ぶボタンに近い人が女性側の幹事にあたる人だった。

生来、大人数で話すことが得意ではない僕だが、なんとかこの状況で1人で黙っている人がいないように話を振るようにしていた。それが功を奏したのか香奈子ちゃんからは[やさしい]と捉えられ、何度かのデートの末人生で初めて彼女として付き合うことになった。


人と遊ぶことにも時々ストレスを感じる自分が心置きなく楽しめた数週間だった。

しかし、数週間後彼女はこう言った。

[君といても未来はない]

フラれた理由は生活のすれ違いが続いた時、僕からの連絡がないことに開放感を感じたことがきっかけだった。


現在、僕は彼女の影を追い、彼女よりかわいくない女性を受け入れられず。仕事においても社会人10年目を迎えた今社会的に見れば貧困層の独身30代として生きている。このままでは生涯独身まっしぐらだ。


[俺はあの子と結婚できていれば、東京オリンピックは家族で観れたんだよ]

[いや、酔いすぎよ、レモンサワー一杯じゃなかった?他のお客さんの迷惑にもなるから帰ってちょうだい]

[え?なんでだよ?他のお客さんなんかいねーじゃねーかよ〜]

[いや、倒れたあなたを介抱はできないから倒れる前に帰って]

[チッ]


酒に潰れ、お店の女性に甘えて強く出る。

そんな僕の行く末をあなたはわかっていたようだ。


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