第2話
目的地、白銀家に到着した。
到着までの間、氷点下の視線に晒されながら紅茶をいただいた。
……正直、味なんてまったく分からなかった。
車が正門前の車寄せに滑り込むように停まり、運転手が静かにドアを開ける。
結月は軽く会釈をしてから、
「気をつけてお降りくださいませ」
と、先に降りるよう促してきた。
(俺はこういう「お客様扱い」がくすぐったくて嫌だから、自分の足で行くって言ってるんだよな……)
運転手に「いつもすみません」と小さく頭を下げてから、俺は地面に足を下ろす。
続いて結月も優雅に降りてきた。
「お嬢様がお待ちですので、どうぞこちらへ」
結月が促し、案内する。
目の前に広がるのは、手入れの行き届い庭。
遠くの噴水が春の日差しに反射してキラキラと輝く。
そしてその奥には立派としか言いようがない白銀家の館がそびえ立つ。
(いつ来てもこの豪奢な館は慣れないなぁ)
まぁ庶民だから仕方ないよねと、一人心の中で零す。
館の入口、その重厚な扉をくぐった瞬間──────
仁王立ちをした少女が………否、
月と星は陽を拐う ちっこいワンコ @satosi0727
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