第39話
黒根子ミライ、初配信日の四日前。
「…チャンネル登録者13人」
チャンネルを作りSNSで告知をした。けれど、登録者はたったの13人だけだった。
初回でどれだけバズれるかも重要な個人勢ライバー。なので使える武器はなんでもつかう勢いでJC売りをしてみたけれど、効果は薄かった。
「今や中学生でデビューしているライバーもおりますからね」
美夜さんが慰めるようにそう言った。
「…ですね。数は少ないですけど、デビューしているライバーが強すぎますし」
大手、ひるどきライブの緋彩セツナさんや
大手が大々的に売り出している実力派のライバーたち。…確かに中学生は珍しいけど、彼女らがいる限り個人勢はどうしても話題性を持っていかれ薄れてしまう。
「やはり、私がFA《ファンアート》を描いて宣伝しましょうか?もちろん、個人的な活動の範疇で。見返り等は必要ありません。…いかがですか?」
「…それは、ちょっと…」
美夜さんはプロの絵師さんだ。本来は報酬を支払い仕事としてやってもらうべきこと。なのに、親しいからといって無料でやってもらうのは…ダメだと思う。
「ですが、このままだと…」
それもそう。けど…それは卑怯な気がする。
「でも、それでも…失敗するとしても、私は」
未來ちゃんの八重歯。細まった目と、長い睫毛。上がる口角…笑った時少し前かがみになる癖。
触れた二の腕の冷たさ、虚ろな瞳、流れる涙…鼻水、よだれ…。
――人はいつか死ぬ。
それが早いか遅いか。いつなのかは誰にもわからない。
私も明日には死ぬかもしれない。
事故か、病気を患ってか、それとも災害か。
誕生日のケーキの蝋燭を吹き消すように、簡単に唐突にこの世を去るかもしれない。
だから、考えなければいけないんだ。
どうその道を歩むのか。
(ここで失敗すれば、星が待ってくれているところへ行くのに遠回りになる…それも、かなり)
だから、美夜さんにイラストを描いてもらって宣伝する。
なんなら少し炎上気味の煽りをして、多くの人の興味を引く…初回配信なら取り返しはつく。
いろいろなやり方はある。
でも、
――あの日、星と約束した夜。
満天の星空の下、笑いあった二人。
…例え、それで星の元へいけたとしても、私…胸を張れない気がする。
真っ直ぐに夢を目指した未來が見える。曲げたくない、真っ直ぐな生き方。
私の中にあなたはいる。だから、やり方もあなたのように、真っ直ぐ…。
(…失敗したとしても、胸を張って頑張ったって言えるように…いつか、報告できるように)
「…きっとあの子も見てるはずだから」
※※※
『なんか人少ねえな』
『おいw』
『エリスの御学友の初配信なのに』
『まーVはたくさんおりますからね』
『まじか』
『他のライバーが強いから』
『今配信してるの多いからな時間帯的に』
『今日はやけにおおくないか?』
『あーそれもあってリスナー少ねえのか』
『やめろ、あんまそういうこというなよ』
『セツナが配信終わったのがせめてもの救いか』
『いやwでもマヒロに流れるんじゃね?w』
『最近100万人達成した個人勢か』
『あの子おもろい』
『そういう話は他でやれよ』
『ほんまそれ』
『つかトークできるようになったのか』
『エリスのとこ出てたときあんま喋れてなかったよな』
『喋るの苦手って感じ』
『おまえらなに?アンチなん?』
『さっきからなんなん』
『5人くらいヤバいのおるな』
『登録してるチャンネルみてお察しなんだがw』
『ええ?デビュー前にアンチ!?』
『ビジュはいいんだけどなー』
『そうか?黒猫モチーフってよくあるだろ』
『つかこれ誰が描いてるんや』
『ママはまだ非公開』
『許可とれてないのか?』
『それやべーじゃん無許可で使用とか』
『はいはい』
――視聴者数11人。
17:名無しのV
ちょっとやばいかもね
18:名無しのV
さすがに人いなさすぎ
19:名無しのV
エリスちゃん呼べ!
20:名無しのV
客寄せパンダ作戦
21:名無しのV
エリスきたら同接1万とかいくよな
22:名無しのV
そしたら伝説の配信だなw
23:名無しのV
おねがいしてブーストかければいいのに
24:名無しのV
歌が上手くてもねえー
25:名無しのV
知られなきゃ意味もなし
26:名無しのV
沈んでくなこれは
27:名無しのV
歌がうまいだけならそうね
28:名無しのV
数字に出てるしな
29:名無しのV
チャンネル登録少ねえww
30:名無しのV
御学友パワーでもっといるかと思ったわ
31:名無しのV
え、どんくらい?
32:名無しのV
いま13人
33:名無しのV
やばww
34:名無しのV
エリスはなんか宣伝してねえの?
35:名無しのV
してないねえ
36:名無しのV
もしかして喧嘩でもしたのか?
37:名無しのV
すげえ仲良かったのにな
38:名無しのV
確かに
39:名無しのV
サプライズで出てきたりするんでね?
40:名無しのV
しかしいくらなんでも人少なすぎるわ
41:名無しのV
ありえんくらいいねえよな
42:名無しのV
他ライバーの配信いってるだろ
43:名無しのV
人気どころが八人くらいやってるもんな
44:名無しのV
まあみるとしてもアーカイブでいっかってなるわなw
45:名無しのV
可哀想だなw
46:名無しのV
心折れるんじゃね?
47:名無しのV
待機のチャットも荒れ気味だしな
48:名無しのV
なんで荒れてんだよw
49:名無しのV
わからんw
50:名無しのV
そろそろ始まるな
51:名無しのV
ちょっと可哀想でみてられんw
52:名無しのV
始まる前からこれはw
53:名無しのV
俺なら泣いちゃう
――配信開始。
「こんにちは、こんにちはー!聞こえてますか、みなさん」
『聞こえてまーす』
『はーい』
『人少ないけどがんば』
『聞こえてるよー』
「わあ、ありがとうございます!」
『可愛い』
『声可愛いね』
『御学友ー!』
『ビジュめっちゃ良い』
「でしょでしょ!この子ママさんはエリスなんだよ!」
『エリス!?』
『マジかよ』
『ふぁ!?』
『ええええ』
『すげえww』
『うますぎだろ』
「誕生日にプレゼントしてくれてね。すっごく可愛いでしょ?ほら、ここの耳のピアスに猫のキャラクター…この黒いドレスもすごい可愛くないですか?ここのクモの巣っぽくデザインされたフリルとか!腰のリボンとか!」
『可愛い』
『めっちゃいい』
『デザインセンスもあるのかエリスは』
『せっかくいいビジュなのにな』
『おめめ綺麗』
『猫目に星のハイライトヤバいな』
『きらきらしてる』
「そそそ!目がさ、これお星さまのキラキラ!可愛いんだよねー!!」
――視聴者数23人。
「と、そうそう、自己紹介がまだだった!あたしの名前は、
『可愛いいい!』
『すき』
『化け猫なんだ』
『ドジそう』
『なかなか人増えないな』
『がんばれー』
『思ったよか喋れてるな』
『見た目だけかな』
『よろしく』
『こちらこそよろしくー!』
『まじでビジュ好みです!頑張って!』
『声すきすぎるわ』
「えーと、それではあたしの事を色々知ってもらう為に、取り敢えずかまそうかと思います」
『かます!?』
『なにを』
『んん?』
「ライバーがこんなこというのもあれなんですけど…あたし、人見知りで臆病でひとに気持ちを伝えるの下手なんです。でも、ひとつだけ上手く想いを伝える方法があって…なので、やってみます」
…いくよ、未來。
一緒に歌うよ。
「――聴いてください、『
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