第5話 宿屋のモブからの脅迫

「夕べはお楽しみでしたね…」


「神崎さんは宿屋のモブですか?」


「勇者エルさん、お姫様を助けてそのままホテルとは炎上案件ですよ?」


「よく俺って分かったね。」


「エルと同じ匂いなんで。」




うーん、前にクラスの奴らにタバコの臭いを指摘されて誤魔化すために最近ちょっと強めにつけていた。


それが仇になったか…


てか、やっぱ女の子ってこえーな。

探偵かよ。





「この事、皆にバラすの?」


「それはエル次第。」


「へえ。」




そう言って神崎さんはキスして来た。


俺は神崎さんの制服の首元と胸のボタンを外してブラの中に手を入れて軽く揉んだ。


神崎さんは顔が真っ赤になっていた。

分かりやすい。

見た目遊んでそうなギャルなのに、この反応はちょっと可愛いなって思った。



「神崎さん、ヤッた事無いんでしょ?無理しないで良いよ?」


「っ!」



神崎さんは俺のズボンのボタンを外した。



「えー。ここでするの?」


「…」



「ベッド汚したらまずいよー?神崎さん、血とか出るかもよ?」


神崎さんは無言で俺のズボンを下着ごとずり下ろして咥えてきた。


「えー。」




必死に舌を使ったり頑張っている…

正直下手だなあって思っていた。


でもそれが逆に興奮していた。


遠くに聞こえる外の騒ぎ声と

カーテン一枚隔てたこの状況と

いつ誰かが保健室に入って来るかもと言う状況と

薬品の匂いがする静かな保健室にピチャピチャと音だけが響いてる状況と…


メガネを外されて視界がボンヤリしていて、眠気で頭もボンヤリしていて、何だかリアルに思えなくて夢現つだった。




「そろそろヤバいかも…口離して…」


頭を引き剥がそうとしたけど、動かなかった。

ギャル改め不動明王…


とうとう口の中でイってしまった。



「うわっ…」


ドクンドクンと暫く出ていた。

出した後も口を離さない…

ってか…



「マッズ…」


飲んでるし…



えー。



「ソレ飲み物じゃ無いからね…てか、神崎さん、AVとか見過ぎじゃない?良くないよそーゆーの…」



「だって、ここ汚したらマズいんでしょ?」



うーん、確かにそうだけど…


俺の避難所が出禁になるのは嫌だけど…



そうしてる内に昼休みが終わる呼び鈴のチャイムが鳴った。



「バラすかはエル次第だから。」



普段のつよギャルに戻って神崎さんは保健室を出て行った。



えー。


これどう言う状況?




俺は結局5時間目も保健室に居た。





「何か俺、女の子に脅迫されてる…」


「まあ、今更だな。寧ろ遅かった位だな。」


「えー。酷ーい」


「そろそろ観念しろ。」


「その子とー?何か面倒そうな子なんだよなあー。」


「まあ、俺らの追っかけなんてメンヘラ率高ぇーからなあ。刺されない様に夜道には気をつけろよ。」


「やめてよー。俺、こんな細っこいのに、女の子にも力じゃ負けるってー。」


「その身体からどうやってあの声が出て来るんだか…世界七不思議だな。」


「知らなーい。産んだ親にでも聞いてー。」


「じゃあ、そろそろリハやるか。」


「ハイハイ。」






「では、今日は2クラス合同で体力測定をやります」


あー。

俺は元々足も遅いし運動オンチだ。

体力も勿論同じ年齢の男子の平均値を大きく下回る。

まあ、俺は周りにこの事は知れ渡ってるんで、この日は皆に良いように弄られる。


別にその事にも何とも思わない。

皆の娯楽のネタに徹しますよ。

下手に同情とかされるよりも、むしろその方が俺も楽しい。


今回は…

神崎さんのクラスと合同かあ…

なるべく近付きたく無いんで仲良い友達達と行動していた。


「山崎、今年は転ばなかったなー。つまんねーなあ」


「俺も3年目になると多少は成長するんだよーだ。」


「山崎の風物詩もここに来て終わりを迎えるかあ。最後は顔面から転んで派手にフィナーレを飾って欲しかったなあ。」


「俺の引退試合を勝手にプロデュースしないでよー。メガネ高いんだから割れたら弁償してもらうよー?」


「それはヤバい!あはは」



とかアホなやり取りをしていたら…




「神崎!大丈夫か!?」


体育教師が叫んでいた。




思わず振り返ると、神崎さんが100メートル走で顔面からすっ転んでいた。



あー…




俺への呪いの言葉が跳ね返って神崎さんに向かってしまった…


てか、神崎さんも運動オンチだったのね…


あんな見た目のつよギャルなのに…


って運動神経とギャルには接点ないか。




まあ、とりあえず…







合掌…


ナムー…

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