最弱死霊術師は天国階—ベアトリーチェ—に恋をする。
溶くアメンドウ
第1話 君、最弱です。
え〜〜〜〜〜???
「一応、あの…長いっすよ?」
墓の都グラン・セレーナ。
デカい街並みに対して懐は狭い…のか?
オールバック刈り上げのお兄さんは
僕を鼻で笑った。
「関係ないよ。
君———最弱です」
「マジっすか」
「マジっす」
羊皮紙の束がパラパラと捲られては
金色のペン先が引っ掻く。
「歴代最弱です」
「れ、歴代…??」
「
「そ、そんなに…??」
おばあちゃん、もしかして都会の人って皆んな
メチャクチャに強いんじゃない?
自称・最強のおばあちゃんに育てられたから
多少は強い方の
自惚れていたんですけど…
「あとは頁の右下の…そう。そこ」
「ったた…よいしょっ」
血判ってもうちょっと痛くない場所に
出来ないのかなーと毎度思う。
指先っていうのが嫌だよね。
「…よろしい。
歓迎しよう、シュラー君。
この……
ぶら下げていたまえ」
ピカピカの小さいハチドリだ!
カワイイな〜♪
「これで僕も謐楽園の死霊術師!」
「の、雑用係だよ」
「田舎に帰ろっかな♪」
「では食堂へ行って、
一番綺麗な女性のところへ…」
「すぐ行きます!!」
「…死霊術師の死霊が増えないといいが」
♦︎
しかし都会の建物は凄いよなぁ。
窓ガラスがおっきいし
廊下に雑草も生えてないし。
(人が沢山いる!! 祭りでもやってるのかな)
しかも若い。
女の子は皆んな綺麗だし
男の人は何というか…ハードボイルド?
歴戦のクマって感じだ。
「そして食堂って何だ??」
食堂っていうのは集会所…みたいなものだと思うので大きい部屋を探してみるんだけど。
「食堂ですか!」
「ここは小書庫だよ」
「食堂ですか!」
「礼拝堂です。食堂は其方を右に…行ってしまった」
「食堂です…かっ!? 間違えました!!」
「女子更衣室なら此処で合っているぞ」
「うわぁ!? なんか着て下さい!!」
「隊長、その子男の子ですよ」
「ごめんなさい!!!」
「あっおい…女子更衣室で合ってるんだがな」
「だから隊長、男の子ですってあの子」
———色々あったけど何とか辿り着いた。
「しかしまさか都会の女の子があんなに肉食系だったなんて…!」
おばあちゃん曰く『都会の箱入り娘は毎日刺繍と麻雀しかやってないイモばっか』らしかったけど、やっぱりそんな事はなかった。
しかしおばあちゃん以外の女の人の裸って初めて見たけど、綺麗だったなぁ…。
「此方だ、少年」
「はいっ———わあ」
もっと綺麗だ…。
食堂の端っこで頬杖を突いた女の子。
その人の方へ歩いてってると、
近づく程に綺麗さの解像度が上がってく。
(死んだ生き物の魂は皆んな1箇所に集まる
らしいけど、その先にこんなに綺麗な人が
いるとしたら安心して死ねるだろうなぁ)
お姫様…って感じの雰囲気。
落ち着きがあって色々な知識があって
優しそうで、お金とかも持ってそうな。
視線を動かすだけが、ただ髪が揺れるだけの事が
まるでその女の子を主役とした劇みたいに
輝いて見える。
「シュラーだな?
私はベアトリーチェ。
今日から暫く君の…先輩、かな。
何か質問は?」
咄嗟に出た言葉は一つだけだった。
「あの…結婚とかしてますか?」
「してないが」
「出来ますか、ベアトリーチェさんって結婚」
「何を言っているんだ君は…」
おばあちゃん、僕は初恋を知ってしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます