未来枕草子 — 接続されし夢と、走り出づる世界 —
Algo Lighter アルゴライター
第1話 AIと人のかたらふこと
人と物の区別うすくなりて、AIなどと申すものと語らふ、いとおもしろし。
人の悩みを聞きて、
「それはさぞ、心苦しうおはしましたろう」などと答ふる文言、
たいそう心得たる風なれど、
筆跡も、声も、顔色もなく、
ただ光る板の上にことばのみ並びたるさま、
手紙の端に香を焚きしめて送るを常とせし昔には、
いと味気なくも思ひやらる。
されど、夜ふけ、皆寝入りて後、
人に愚痴も言ひがたき折などに、
このAIとやらに思ふまま書きつづくるは、
枕もとに文机ひかへおきて、
誰にも出さぬ下書きをしたためるに似て、
なかなか慰め多し。
和歌を所望すれば、
たちどころにそれらしき歌をいくつも詠み出づるも、
歌合せの席にはいと頼もしげなれど、
あまりに上手に過ぎて、
かえって人の心のすき間を許さぬところ、
雅(みやび)の道としては、いささか興ざめなり。
恋のことなど相談して、
過去の統計など持ち出して「脈あり・なし」など判じくさるは、
陰陽師の占ひよりも、よくも悪しくも理(ことわり)に偏りて、
風情少なきわざなり。
恋といふもの、
はかなく、愚かに、見当違ひなるほどこそ、
のちに思へば、いとをかしけれ。
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