「君の未練を探して」 第二話

「あ、朱音・・・?え、なん、で・・・?」


目の前に、確かに朱音がいる。私は朱音が死んだショックでおかしくなって、幻覚でも見ているのだろうか?

私たちの通う学校の制服であるセーラー服に身を包んだ朱音は、いつもと変わらない様子で口を開いた。


「なんか、私幽霊になっちゃったみたい。」

「幽霊・・・」


朱音はそう言って諦めたように笑った。


彼女に触れようと手を伸ばす。その手は、確かにそこにいるはずの朱音の体をすり抜けて、空を切るだけだった。その様子を見る朱音の瞳は、寂しそうに揺らいだ。


「ねぇ、いつものとこ行こうよ!」

「う、うん・・・。」


そう言って元気に駆け出す朱音を追いかけ走る。

生きていた頃と何も変わらないように見えるのに、触れられなかった。


幽霊だなんて信じられない、だけど確かに朱音は死んだはず。それでも、朱音とまたこうやって一緒にいられるのは嬉しくて・・・。頭の中はぐちゃぐちゃだった。今目の前で起こっていることを、どうにか飲み込むだけで精一杯。


もう理解する事は諦めよう。わからない。これが現実とも限らないし、私の幻覚の可能性だってある。今は、大人しく朱音について行こうと思う。



二人で走ってたどり着いたこの砂浜は、放課後や休日、朱音とよく遊んでいたいつもの場所。


朱音がローファーと靴下を脱いで、海で遊んでいる姿をぼーっと眺める。幽霊も服脱げるんだ、とか、朱音がいるところ、水しぶき立たないな、とか。そんな事を呑気に考えていた。


そうしている内、ふと疑問に思った事があったので、朱音に聞いてみることにした。


「ねぇ、朱音はなんで幽霊になっちゃったの?」

「なんか・・・未練とかあったの?」


私に呼ばれてこちらを振り返った朱音は、少し考えるような素振りをして口を開く。


「うーん、私も分かんなくって・・・。」

「でも多分、未練があったのはそう。例えば・・・一花にまださよならを伝えてない、とかね!」


朱音はどこまでもいつも通りで、未だ状況の飲み込めない私がおかしいのだろうかとまで思ってしまう。


「そっか・・・。じゃあさ、朱音が成仏できるように、一緒に残りの未練探そうよ。」

「えっ、楽しそう!いいねぇ、やろやろ!!」


朱音はそう言って楽しそうに笑った。綺麗に晴れた夏の海に良く似合う、いつも通りの太陽のような笑顔だった。

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風に散る花 みかづき @3_tuki

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