AIで夢が叶った

かごめごめ

AIで夢が叶った

 昨今巷を賑わせているAI小説。

 カクヨム運営がタグ付けを推奨しているのを見て、禁止する方向じゃないならちょっと試してみようと思った。


 まずは「3話でエタった小説の続きをAIに書いてもらった」と題して、約1年前にエタって非公開にした作品の続きを制作することにした。


 使用したのはChatGPT。

 今から2年半前にもChatGPTで小説を書こうとしていたのだが、そのときは全然思うようにいかなかった。

 今回久しぶりに使ってみて、以前触ったときよりも高性能になっている実感があった。


 ただ、巷を賑わせているような大量投稿は、よほどのノウハウでもなければ無理だと実際に使ってみて思った。

 すべてを自分で書くよりはだいぶ早いが、それでもかなりの修正作業が必要になる。

 作りたい物語の方向性が明確であればあるほど、こだわりが強いほど時間がかかる。

 こだわりがないほうがスムーズに作れるだろうと思った。


 かつて書こうとした物語の続きが生成されるのは楽しいし、作品が仕上がっていく達成感もあったが、修正すべき箇所の多さに次第に煩わしさが勝ってきて、2日くらいで飽きてしまった。


 そんな中、高性能のGemini3.0がついにリリースという話題を小耳に挟み、よくわからないけどこっちでも試してみようと思い、使ってみた。

 ChatGPTでの経験を活かし、今度は簡単なアイデアだけを投げることにした。

 メモアプリの奥のほうに眠っていたアイデアの一つ。タイトルとジャンル、ざっくりとした方向性だけ。


 それだけで、Geminiは素晴らしい第1話を書いてくれた。

 第2話も、第3話も面白くて、ページを生成する手が止まらなかった。

 気がつけば、純粋にいち読者として物語の続きを欲している。


 感動しっぱなしだった。この性能なら、実用レベルに達していると思った。

 何話か生成していると、すぐに無料版の制限に引っかかり、すぐに有料版へアップグレードした。

 そのくらいハマってしまった。


 しかし話数を重ねていくと、物語が複雑になっていくにつれて矛盾も生じやすくなり、修正すべき箇所も増えてきた。

 だが、この修正指示がまた楽しい。

 修正能力が素晴らしく、一度矛盾を指摘したら期待以上のモノが返ってくることが多い。違う、そうじゃない。となることがあまりない(なくはない)。


 基本的には指示すればするほどどんどんよくなっていくから、指示しがいがある。

 途中どうしても入れたいエピソードを思いついて、雑なプロットをささっと書いて投げてみると、完璧な小説になって返ってきて、ほぼ無から生成したときとはまた別の感動を覚えた。

 これなら、今度はもっと詳細なプロットを用意しても問題なさそうだった。


 昔のChatGPTで書いていたときはすぐに前の設定を忘れて、そこがAIで小説を書く上で最大のネックまであったが、このGemini3pro思考モードとやらは初期の描写や設定もわりとしっかり記憶してくれている。


 ただ生成と修正を繰り返すだけでなく、時にはこちらから新キャラの投入を提案してみたり。

 そんなAIとの共同作業もまた楽しかった。


 あと、すぐさま問題点を言語化して修正を指示できる自分も何気にすごいと自画自賛もしておく。

 AIが書いてくれるとはいえ、より面白くするには、どのタイミングでテコ入れするか、どの表現をどう直すか、といった舵取りのセンスは間違いなく必要。

 修正作業をしていて、今まで小説を書いてきた経験が確実に活きていると感じた。

 小説はすらすら書けないのに修正指示はすらすら出てくるから、小説家よりAI小説家のほうが向いているのかもしれない。


 もう昔すぎてよく覚えてはいないけど、小説を書き始めたばかりの、いちばん楽しかったころの感覚に近いものを味わっている気がする。そのくらい熱中した。


 AIと小説を書いてみて、自分は小説が、物語を創ることが好きなんだと再認識させられた。

「自分の手で書く」ことへのこだわりはなく、「面白い物語を生み出したい」という思いが根幹にある。

 自分で書くことにはすでに限界を感じていて、本当にやりたいと思っていたのはプロデューサーやディレクター的なことだった。


 自分の考えた企画やアイデアを元に、面白い作品を創る。

 プロに依頼するという方法を考えたこともあったが、現実的じゃなかった。

 だからAIの台頭は、渡りに船だった。


 この最強の武器があれば、すべて叶う。


 今まで書き溜めてきた、膨大なアイデア。

 タイトルだけ思いついたもの。コンセプトだけ自信のある企画。

 細部を詰めきれずに諦めた書きかけのプロット。

 最後まで描けなかった物語。


 これから先、それらすべてを形にできると思うと、わくわくが止まらなかった。

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