一直線上の秒針のお話。

4:55yoake

第2話

 Fu:「ハハハハ!!!ばっかで〜」

 N2:「うっせぇボケ。つうかお前だってこの前―――」

 Fu:「そうだったwwwwwww」

 僕:「おwwまwwえwwらwwwwww」

 Eu:「wwwwwwwwwww」


 字面だけだと汚すぎて何言ってるのかわかんないと思うので普通に何が起きてるのか説明しよう。

 私達は今、鍋を食っている。

 そして笑い転げている。

 もちろん、多寿人格の私達が現実世界でそういった事ができるわけではない。

 こんな事ができるのはおそらく僕たちだけだろう。

 複数ある人格に対して体は一つしかないのだから当然のごとくこれは幻覚である。

 ちなみになぜ鍋を囲んでいるのかと言うと、現実がクソすぎるからである。リアルの方では飯を食うことはクソどもの話に延々とつきあわされる上にそれに怪しまれぬようひたすら返答を続けるという地獄のような作業である。

 故に架空の空間上に集い、その分皆で楽しむというようなことになっている。


 N2:「さっさと小説のランキング獲ろ〜ぜ〜?せっかくお前の書いたグラ1が伸びてんだから〜」

気だるそうに、絡みつくようにN2がからかってくる。

 Fu:「そ〜だそ〜だ〜!」

それに同乗するように明らかに素面ではないFuが野次を入れてくる。


 猿かと思うほどに顔全体を真っ赤に染めたN2が調子乗ってアホみたいなこと言い出した。コイツら明らかに酔ってるだろ。なんで酒があるんだ酒が。まだ未成年者だろうが、、、と思うが普通に此処は現実世界ではないので割と何でもありである。空想上の世界を旅したり、絵画のような巨大な世界を作ってみたり、気の向くままに暴れたり。そのうち大それたことには飽きて、今ではこういったしみじみとした、というよりはより的なものを好むようになっている。まるで神の真似事のようにも思えるが今回それを惜しげもなく書くのだ。まあ、なんというか温かい目で見守っていてほしい。あとFu。お前はなんでそんなこと言えんだ?


 N2:「俺なんかPV数こそ増えはするものの、、、いつまで経ってもランキングにすら乗らねぇよ。」

 ある種の開き直りのような感情で手元にあるコップの中を見つめながら言う。


 Eu:「んじゃまた作る?「俺がめっちゃ称えられる絶対的に上位存在な世界」。」

 そこで思いついたとばかりに両手で銃の形を作ってウィンクをしながらN2に語りかける。


 N2:「あんなのつまんねぇよ。そこにいる人間一人一人の脳みそだってそうだ。だいたいド◯クエのNPCかっての。ずーっと同じセリフばっか繰り返しやがって。そのうちこんなことで褒められても嬉しくねぇってなったわ。」

 コップを体から離し、のけぞるような姿で肩をすくめて語る。


 Fu:「うわ〜それは萎えるわ。どんまいw」

 ある種の揶揄いのような感情でN2を煽る。


 N2:「だからお前は何なんだ。」


 Fu:「ええ〜強いて言うなら野次?」


 Eu:「自覚あったのか、、、」


 Fu:「wwwwwwwwwwwwwwwwww」


 あ、コイツまた笑いのツボ入ったな。Fuが笑い始めるとさっきみたいに呼吸困難で一回死ぬまで続くのでその間は黙々と鍋に箸を突き立てる時間が始まる。が、本人が居なくともその分の飯はちゃんと取っておくのでなんだかんだ言って仲いいのであった。


 Eu:「あ〜サイコ〜!カスどもが居ねぇと飯がうまい!」

 Euが盃を突き上げんとばかりに手を上に伸ばし、高らかに叫ぶ。


 Fu:「自らの親のこと堂々とカス呼ばわりすんなしwww」


 N2:「実際カスだから仕方ねぇだろ。あんなの同じ家に居るだけの他人と対して変わらん。どちらかといえば俺らの生みの親はお前だろ。」


 N2が箸の先に鍋の具をつけたまま僕のことを指してくる。汁垂れるぞおい。

 と思いつつ飯をつつく手は止まらない。

 既にいくつか口に頬張っているのでそのまま答える。


 僕:|「ふぇ?ふぁんふぇふぁふぇん。ふぉれふぉまえらうんだおぼえふぁなひぞ?」《(え?なんでやねん。俺お前ら産んだ覚えはないぞ?)》

 Fu:「口の中に食べもん突っ込んだまま喋んなwwwwwwwリスにしか見えねぇww」


 N2:「リスかwwww確かにそうとしか見えねぇw」


 Eu:「はいは〜い。ふ〜ちゃんちょっと落ち着きましょうね〜」


 僕:「ふ〜ちゃんwwww」


 Fu:「wwwwwwwwwwwwwwww」


 こういう時間だけほぼほぼ全員頭のネジが2,3本飛んでるのでアホな会話が生まれる。そんなこんなでしばらく飯を煽りつつ喋り倒した。酒ではなく飯を煽った理由はこれFuに以上飲ませるともう完全に言葉という言葉を発さなくなるからだ。笑いすぎて。

 しばらくして全員が落ち着いたところでまったりモードに入る。ひと騒ぎした後の精神的余暇だ。全員こたつの中に下半身を入れ、そこから這い出るように机にしがみついている。みな体の温かさと疲れでうつらうつらと夢の船を漕ぎだしている。あと鍋は邪魔だったので消した。


 Fu:「なんかさ〜こういう時間が一番落ち着くわぁ〜」


 テーブルにほっぺたを液体のようにだらんとくっつけながら目を閉じたままFuが喋る。


 Eu:「わかる。何も気にせずゆ〜ったりできるし。」


 今度はこたつに全身を埋めているEuがもそもそと這い出るかのように声を出す。


 N2:「やっぱお前もこういうときだけは大人しいんだな。」


 座椅子の上であぐらをかいて居るN2が意外そうにFuを見つめる。その目にはある程度の憐憫が込められたいた気がするが、、、まあ気にしないでおこう。


 Fu:「とおもっていたのか!や〜!」


 次の瞬間、猫もかくやといったスピードで一転、N2に向かって飛びかかった。

 N2も即座に飛び退こうと立ち上がろうと膝に力を込める。しかし、彼の座っている椅子は背もたれのあるタイプであり、迂闊に立ち上げればそのまま後ろに倒れ込んで頭を打ってしまう。もはや同仕様もない状況である、、、


 Fu「ぎゃふん!」


 その瞬間、急に飛び上がったFuの膝がこたつの天板に当たり、そのまま顔面からダイブする。完全に打つ手無しだったN2も、拍子抜けしたとばかりに間一髪で難を逃れた。



 N2:「うお、なんだおめえ!急に飛びつくなよ。」

 若干引き気味になりつつも、N2が驚く。


 Fu:「ぐぬぬ〜隊長!作戦は失敗です!」


 N2:「いやなんの作戦だよ。」

 口惜しそうに先ほど天板にぶつけた二箇所をさすりつつ、N2を睨むFuに、至極真っ当なツッコミが入る。


 Eu:「くそう、、、我々のN2飼いならし計画が、、、」


 N2:「なんてもん考えてんだお前ら!?近寄んな!?」

 その一言を聞いた瞬間、舞うでみずに濡れた猫かといったような様相で二人から距離を取るN2。


 Eu「はいはい。まったくみんなだらしないんだから〜」

 するとそのおふざけをまとめるようにEuが場を収める。


 N2「だらしねぇのはオメェもだろ。というかその餅どっから出した。」

 元いたこたつに戻りつつ、しれっと自分だけ必要なものを整えているEuに対して追求が飛ぶ。


 Fu「私にも寄越せ〜」


 僕「んじゃみかんも出すか。」


 Fu「正月ムード全開すぎるw」


 Eu「もう終わるけどね〜」




 N2「ったく、、、お前ら自由すぎんだよ。」


 僕「そんなこと言ったらみんなそうだって。」


 Fu「たしかにw」


 Eu「あ〜あ〜。なんか面白いことないかな〜」

 実際もうここでできることは一通りやってしまっている。やりたいことも特になければ、ただダラダラと時間を浪費するだけとなっている。


 Fu「小説の世界もっかい見る?」


 僕「いやいい。なんかもう見飽きた。」


 Fu「えぇ〜でもちゃんと見とかないとかけないよ〜?」


 僕「そうなんだよなぁ、、、めんどい。」


 そんなふうに完全にもう終わりのような空気が流れ出していた。

 このあとは特に何もせずにいつも通り交代で夜中を起きるだけである。

 正直暇だな〜と思っていたところで、事件は起きる。


『上位存在からの権限の更新を確認。』


「「「「!?」」」」

突如鳴り響いた異質な声に、眠りに落ちかけていた意識が覚醒する。


「おい待て何だこれは」

「しらん。Euなんか知ってる?」

「いやさっぱり、、、」

「僕もわかんない、、」


『時空間転移対象者:HL、N2、Fu、Eu。対象者を確認しました。これより指定座標0843.8054.3570―――』


「おいお前ら武器出せ!」

「うん、、!」

「えぇぇ!!?!?」

「わかった!」

皆思い思いの武器を出す。それは銃であったり鈍器であったり刃物であったりと様々だ。それぞれが数多もの世界を渡り歩いた末に体得した自らに最も適した武器。使い方はそれぞれ体の芯に染み込んでいる。

が、目の前のこの不気味な声に対しては、それすらも心もとない。


『警告:対象者の抵抗行動を確認。強制武装解除を実行。時空間転移、発動します。』


次の瞬間、大技を出そうと力をためていた僕達の手から武器が飛び出し、そのまま中を舞う。

そして、それぞれの足元から部屋全体にかけてまっしろな穴が広がってゆく。

戦うことを封じられた僕達は、何の抵抗もできずに思い思いの声を上げつつそのまま落ちてゆく。


「うわぁぁぁぁああ!!!!」

「わ〜〜〜〜、、、」

「えぇぇぇぇぇえええ!?!?!?」

「クソォォォォォ!!!!!」



そうして僕達はわけもわからず突如空いた穴へと吸い込まれていった。

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