第15話 新入
「あっりがとう〜! これからよろしくね! ご主人様!」
契約を結び、鳥と話せるようになったため、挨拶してみると、思ったよりもテンションの高い返答が返ってきた。
相変わらず、契約を結ぶときは結構輝いたが、エイガはちらりともこちらを向かなかった。見えなかったんだと信じたい。
「……これだから鳥は嫌いなんだ」
ライトがそう文句を言う。わたしはライトの頭を軽く撫で、鳥に向かって口をひらく。
「あなたの名前をつければいいの?」
「うん! よろしく〜」
テンションの高い鳥を見て、わたしは顎に手を当てて悩んだ。
「うーん……ドリーミー……」
「それはダメ! 条件に合致しないから」
冷たくそう言い放たれて、わたしは再度悩んだ。条件ってなんだと思いながら、ライトを見るが、ライトも納得しているようで頷いている。お兄様を見ると、表情には出さないがお兄様も条件がわかっていないようだ。
「じゃあ……マーシー?」
わたしがそう言うと、目を一瞬丸くしたマーシーが、嬉しそうに言いながら飛んだ。
「あたし、マーシー! いいねいいね! よろしく!」
「これだから、鳥は煩い」
ライトが嫌そうに尾を振りながら、マーシーを見た。
「じゃあ、マーシーよろしくね。……なんか、わたしの周り、生き物多すぎじゃない?」
元々そばにいてくれた兎と鼠の子、ライト、マーシー、日によって付いてくる子たち。
「契約したのだから、仕方ないだろう。私としては、研究材料が周囲にあって、羨ましいぞ」
「……うちの子は解剖させませんからね!?」
「解剖には興味がない」
お兄様のそんな言葉を疑っていると、ライトとマーシーが言い合いになっていた。
「ライトはご主人様の肩に乗ってるじゃん!? あたしは宙に浮いているから、あたしの方が負担が軽いし!」
「肩に乗っていると言っても重さは感じないよう調整している!」
「喧嘩しないの、二人とも」
そこまで言って、わたしはエイガの方を振り返った。黙々と剣を振るエイガが視線を上げ、わたしと目が合うと笑って言った。
「空気が落ち着いた感じがするけど、終わった?」
エイガに「待たせてごめんね」と謝りながら、わたしは駆け寄った。お兄様もエイガのことを放置しすぎたと気まずそうな表情をしている。
「……きっと、僕は知らない方がいいことなんだろ? 気にしなくていいって。また、僕が強くなって、二人が知ってもいいと思う時に教えてよ」
へにゃりとそう笑ったエイガに、お兄様とわたしはそろってお礼を言った。もしも、いつかエイガがもっと強くなって、世間の妖たちへの誤解が解けたら、エイガに一番に教えたい、わたしはそう思ったのだった。
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