コスじゃないよ!?
「保健室って、なんの話!?」
「いや、その……一緒にベッド入ったり、そのハグしたりした時のこと……」
「あー、うん」
肩をすくめながら凛が顔を赤くした。私は照れ隠しかわからないけれど、無意識に髪の毛をくるくると遊ばせる。
ですよねー、保健室のことなんてそれくらいしかないですもんね!
「あの時はごめんなさい、その……なんか止まらなくって」
「いやいいよ、私もベッドにもぐりこんじゃったりしたし……」
「あれは仕方ないよ、あんなところ見られるわけにはいかないもの」
「まぁ、そうだよね……」
私たちは少しの間沈黙が流れた。そして凛がゆっくりと口を開く。
「でも、久しぶりにハグできて、うれしかった……」
「え?」
「…………だって! 朱音ちゃんのせいで最近はハグとかできてなかったし、生徒会とかであんまり一緒に帰れてなかったから!」
立ち止まって声を大きくしながら、不満を爆発させるように言った。
そしてまだまだ言い足りないと言わんばかりに話を続ける。
「それに、朱音ちゃんとネカフェ行ってそういうことしたって聞いたし!」
「してないけどね!?」
聞き捨てならない言葉が聞こえ、慌てて話に割り込んだ。
「……寂しかったんだから」
「凛……」
私は立ち止まっている凛に声をかけた。凛は恥ずかしそうに顔を背けたままだ。
まさか私のせいでそんな寂しい思いさせてたとは。途中変なこと聞こえたけど……今なら、誰もいないよね。
周りを見渡したが、誰も通りかかっていない。私は腕を大きく広げて、凛に抱き着いた。
「え!? 唯ちゃん!?」
「ごめんね凛」
耳元でそっと囁いた。すると凛は私の方を向いて、そっと背中に腕を回してくれた。
温かい。
「卑怯だよ……」
「あれ? 他になんかした方がよかった?」
「……これでいいけど……」
どっちやねん! とツッコミを入れたくなってしまったが、私は凛の体温に集中していた。
やっぱ凛は温かい、まるでカイロみたいだ。
「……ずっとこのままがいいな」
「誰かに見つかっちゃうからもうだめだよ」
私はゆっくり離れようとすると、温もりを嚙みしめるように、背中から腕へとゆっくりと手を滑らせた。
「久しぶりの充電だね」
「確かにそうだね、これで頑張れそ?」
「今なら何でもできそう」
ふふっ、と幸福感で笑顔がこみあげているように笑った。それにつられて「なにそれ」と私も声を出して笑ってしまった。
そしてそのまま、私たちは二人で並んで帰った。
*
「じゃあ、大体決まったってことでいいのかな?」
「そうですね、基本的には決まりました。あとはどんな服装とか、外装にするのかを決めるだけです」
翌朝、先生に昨日書いた紙を出しに、凛と二人で職員室を尋ねた。先生は感心したように、まじまじと紙を見た。
凛、結構びっしりと書いてたからな。ちゃんと優等生だ。
「わかった! じゃあ服装とかは休日とかに買い出し行ってもらえたりする? 買ったらレシートくれればこっちでお金返せるからさ」
「あ、わかりました。相談してみます」
「ふーむ、服装。どうしよっかね」
「先生が言うには学園祭の準備の授業を抜け出しても良いって言ってたけど、服装とかは早めにそろえたほうが良さそうだね」
「だねー」
職員室から出てそんな会話をした。
というか、お化け役って私たちだから私たちで買いに行った方がいいよね。
「胡桃とかの意見も聞いておこっか、演出に合ってたほうがいいもんね」
「そうだね、賛成」
そういった凛は、なにか思いついたように考え込む。
「……それに、私たちが着るってことは試しに来てみたりしなきゃだもんね」
「まぁ、そうだね」
「唯ちゃんのコスプレ姿……」
「コスじゃないよ!?」
頭の中でよからぬことを考えているような顔をし始め、慌ててツッコミをいれた。
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【あとがき】
少しでも「続きが気になる!」「この百合、もっと見たい!」と思っていただけましたら。
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