保健室、保健室……!?

「学園祭かー……」


 バフっと自分のベッドにダイブしながら一人で呟いた。


 学園祭、去年は胡桃と回ったっけな。凛はまだ去年仲良くなかったけど、誘ったら来てくれるのかな。


「むむむ……」


 私は凛のメッセージの画面を見つめ、文字をゆっくりと打っていく。


『学園祭、一緒に回らない?」


 これで、いいかなぁ。でも来てくれなかったら……。


「ううーん」


 頭を抱えて、スマホをまた見直す。


 生徒会で忙しいかもしれないしな、でも胡桃と回れなかったりしたら……。


 少しの間思考を巡らせて、ようやく決意した。


「ええーい押しちゃえ!」


 ぽんっという送信音とともにメッセージがトークに表示された。


 まあ朱音ちゃんとかも誘うつもりだったし、凛が来れなかったら朱音ちゃんと二人で回ろう。


 そして数秒後、意外にも早く返信が来た。


『いいの?』


『もちろん』


『よかった。私も唯ちゃんに言おうと思ってたから嬉しい』


 そのメッセージを見てほっと胸を撫でおろす。


 よかった。これでみんなと回れる。


『朱音ちゃんも誘うつもりだけどいいよね?』


 そう入力して送信すると、既読が付いたまま数十秒が流れた。


 ん? なんか長いような。


 そんなことを考えているとようやく返信が来た。


『二人じゃないんだ』


『二人?』


 私がメッセージを送信すると、凛のメッセージが『送信取り消し』に変わった。


 あれ。なんだろ。


『ごめん何でもない、胡桃ちゃんも誘うの?』


『そのつもり。胡桃が回れなさそうだったら三人で回ろう』


『わかった。楽しみにしてる』


 そこで会話が終了した。


 よかったー、朱音ちゃんにも後で送っておこう。それより、『二人じゃないんだ』ってどういうことだろう。


「私と二人でデートしたかったんじゃ……ってなわけないか」


 私はそのままポイっとベッドにスマホを投げた。


 *


「じゃあ、テーマを一旦決めよっか」


「はーい」


 数日後の放課後、私たちリーダー組は会議することになった。 集まったのは凛、私、胡桃とほかのリーダーだ。


 もちろんお化け屋敷についてだ。材料とか選ぶにしてもなにを作るのか決まってないと、色々やりづらいらしく、大きなテーマをまず決めることになった。


「なんかいいテーマありますか?」


「うーん、あれは? 廃病院的なやつ!」


「でも教室だから大掛かりなことはできないっしょ」


 テーマ担当の人が案を出してきた。それに受付係のリーダーが反応する。


 やっぱり教室とかを考えないとだよねー。やっぱり雰囲気も出しやすくて、比較的やりやすいテーマ……。


「……じゃあ私たちの学校の怪談的なの作るのは?」


「怪談?」


「そう、たとえばこの教室で呪いの儀式がされて、今も呪いが残ってるとかそういう系」


「もしかして、七瀬さんって天才?」


 受付係のリーダーの谷風さんが真剣な顔で私を褒めた。すると凛も「いいかも……」と考えるように言う。


「たしかにそれいいかも! やりやすそう!」


「じゃあこれで決定でいいですか?」


「うちは意義なーし」


「俺もそれでいいと思うぜ」


 そして凛が出し物の紙にペンで『学校の怪談』と書いた。


「詳しい話は、テーマ担当が考えてくれますか?」


「おう」


「じゃあ、結構早く終わっちゃったけど解散で」


 凛がそうみんなに言うと一斉に「はーい」と返事をして帰っていく。


「そうだ唯ちゃん」


「ん?」


 私も帰ろうとしたところで、凛に呼び止められとっさに振り返る。


「今日一緒に帰らない?」


「え、いいけど。生徒会とかないの?」


「今日はないの」


 凛が鞄に荷物をまとめながらそう言った。断る理由もなく、私たちは一緒に帰ることになった。


 朱音ちゃんには先に帰ってもらったし、二人きりか。


 *


「どう? 学園祭楽しみ?」


 駅まで歩いている途中、凛が先に話しかけてくれた。


「もちろん、生徒会で凛が頑張ってくれてるんでしょ?」


「まぁ、大変だけど、そんなすごいことはしてないよ」


 私がそう聞くと、凛は謙虚な笑いを見せながら言った。


 でも生徒会はかなり学園祭に力を入れるタイプで、去年は体育館に舞台専門の人を呼んでコンサートとかで使うセットを組み立ててもらっていた。


「楽しみだなー」


「もう、あんまり期待するのは禁止」


 教室の時とは全く違う甘い声でそう呟き、頬を膨らませた。


 でも期待もしたくなるよね、だって……。


 前に言われた「大丈夫です。唯ちゃんのためなら頑張ります……」という言葉を思い出した。


 恥ずかしいけど、嬉しかった。


「なんか変なこと思い返してない?」


「え!? そんなことないよ」


 図星だ。


「って、この話じゃなくて、実は話したいことがあって」


「話したい事?」


「えっと……その、前の保健室の話……」


 凛は顔を真っ赤にして話始めた。


 保健室、保健室……。ん!?


ーーーーーーーー

【あとがき】

少しでも「続きが気になる!」「この百合、もっと見たい!」と思っていただけましたら。



フォローと☆☆☆を入れていただけますと、大変励みになります。



皆様からの応援が書き続ける、何よりのエネルギーになります。

引き続き、応援よろしくお願いいたします

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る