読み始めるとまず、作者さんが日本の歴史に精通しているのがよくわかります!
そこに妖が存在するという設定を編み込んで生まれたこの作品ですが、なによりも魅力的なのはキャラクターだと思いました。
主人公は、男でありながらも祖父祖母の孫娘が欲しくてかぐや姫にしたい!というわけの分からん我儘で見た目だけ美少女となってしまった女装男子。
幼馴染のヒロインは、そんな主人公を護らねばと庇護欲を爆発させて武闘派となり。
ただのペットの柴犬と猫だと思ってたアニマルズも実は妖怪で喋れる。
死んだと思っていた両親は、実は異界で暮らしている。
などなど、捻りに捻られた愉快なキャラクターばかりです!
そんな彼らの軽快な会話がこの物語の魅力の一つだと思います!
ぜひ、読んでみてください!
とある地方都市に天武天皇由来の「妖の王」と「妖の城」の伝承が密かに残っています。妖と人との契約は天皇家から鎌倉・室町・豊臣・徳川、果てはGHQと日本政府にまで引き継がれており、「妖の王」がいれば妖の自治区を認める取り決めが引き継がれてきました。その妖の王の血を引いて生まれたのがとある少年。けれど彼はとある事情で男の娘を強いられている超絶美少女なのです。学校では男子から告白されまくり、教師からは聖域扱い。そんなある日、交通事故をきっかけに彼女(彼)は大物妖と遭遇することになります。そして愛犬が話はじめとてつもない秘密を暴露します。彼女こそ妖の王だと… 祖父母、異界の両親、とんでもな血を彼女は引き継いでいたのです。彼女はとんでもないと辞退しますがその晩… さあみなさんもこの魅力的な男の娘ちゃんと妖の世界を旅してみませんか?ボーイッシュな幼馴染枠の空手美少女、フェンリル風の妖など刺さる人には刺さるはず。
この作品は、いいねの交流をきっかけに読み始めました。
第一章冒頭に、
「美少女の格好をさせられて育った不遇な男主人公」
という書き出しがあったので、現代ファンタジーや性別転生系の物語かと思いながら読み進めましたが、実はその設定自体が物語の核に深く関わっていることが分かり、そこで一気に引き込まれました。
物語の土台には、日本の古代から続く伝承や物の怪といった、日本人にとって馴染みのあるテーマが使われています。
完全にオリジナルの世界観を持つ異世界ファンタジーよりもとっつきやすく、現実の歴史の裏側に妖の世界が存在する、という設定も自然に受け入れられました。
妖が歴史の転換点に関わっていく構図は、『うしおととら』を思い出す部分があり、僕にはとても合っていました。
各部ごとに情報が整理される構成で読みやすく、主人公をとりまく環境はそれなりに重いテーマもありますが、主人公や幼なじみ、妖たちの軽快でコミカルな会話が多いため、共感しながら気楽に読める作品だと思います。