花の守護者

レア

第1話 ゴミ山の上

 息を切らした青年がこちらを見てくる。どこか必死さを感じた。ファレはゴミの山を漁っていた手を止めた。

 目を合わせないようにしながら、その場を立ち去ろうとする。突然青年に手首を掴まれた。

 振り払おうとした手に何かを握らされる。見た目の割に重い小袋だ。

「これ、、、あげる。」

 中を見るとそこには七色に輝く石がいくつも入っていた。ぎょくだ。魔力を含んでおり、実用性もある上、見た目の美しさから装飾品としての需要も高く、高値で売れる。今渡されたものを売れば、少なくとも今よりマシな暮らしができる。

「は?」

 青年の方を見る。体も髪も目立った汚れはない。上背もある。肉付きもいい。そのうえきれいな服を着ている。そんな人間が追い剥ぎに遭う危険を犯してまで、こんなゴミ山に慈善活動でもしに来たのだろうか。

 ファレは青年を睨みながら、小袋の中からぎょくを一つ取り出した。

「これはありがたくもらう。」

 青年の顔が少し曇る。 

「他はいらない?」

ぎょくをたくさん持ってるなんてあたりのハイエナどもに殺されかねない。」

 ファレの答えに、青年はなにか考えるように目を閉じた。しばらくしてゆっくりと目を開けると真面目な顔で言ってきた。

「それなら俺と来て。」 

 青年はこちらに手を伸ばした。

「衣食住と君の安全、これは絶対に保証する。」

 ファレは困惑しながらごみの山を見た。それから自分の骨の浮き出た腕を見た。なんとか雨をしのげる程度のボロボロの家を思い出した。父と母の酷い姿を思い出した。

 相手は健康そうな青年。こちらはガリガリな少女。この男になにかされても逃げることはできないだろう。

 頭では分かっていた。しかし気づけば、ファレは青年の手を取っていた。

 

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