Episode12 コムロの発見

トロア「そんなもの取り出しても無駄だよ」


コムロ「あなたに言われる筋合いはない」


コムロは剣を大きく振りかぶりトロアに向かって走った。


トロア「無駄だって言ってるのに」


コムロがトロアに近づくとトロアは一瞬にして消え、コムロの視界がひらけた。コムロは剣を振るのをやめ、辺りを見渡した。


トロア「隙がありすぎだよ?」


トロアはコムロの足元にいた。


コムロ「…!いつの間に!」


コムロがやにわに口を開くとトロアが持っていた歌声変換機をコムロの首につけた。機械はしっかりと固定され、取れる気配はない。コムロは必死に抗うが、それは全くの無意味である。


トロア「これで君もリヨンと同じ道を歩む。せいぜい楽しめよ」


コムロは何も言うことが出来なかった。変に声を出してしまうと「歌声」と誤認識される可能性があるからだ。たしかに、リヨンが助けた人数は5人なはずなのに亡くなった方は計15人と言っていた。それは普通の話し声が歌声と認識されたのだろう。


※以後()は心の中のセリフとする


コムロ(とりあえずジョンに連絡するか…)


(LANE内)

コムロ「やはり、犯人はトロアだった」


ジョン「トロアさんはどうなったんですか?」


コムロ「残念ながら逃げられた。しかも俺に歌声変換機を首につけてきた」


ジョン「えぇ!大丈夫ですか!?」


コムロ「普通に話して「歌声」と認識されたら厄介だ。だからこうしてLANEで話している」


ジョン「どうやっても取れないですか?」


コムロ「あぁ」


ジョン「そうなんですか…」


コムロ「こんな形で報告してしまって申し訳ない」


ジョン「全然大丈夫ですよ!コムロさんが無事なら!」


コムロ「あともう少しでそっちに着くと思う。着いたら多分筆談になると思うから紙とペンを用意しといてくれ」


ジョン「わかりました!」


事情を伝えたコムロはジョンの元へ帰った。その背中はいつもよりこじんまりとして見えた。


数十分後。コムロはリヨン邸に戻ってきた。


ジョン「コムロさん!大丈夫ですか!」


コムロはゆっくりと頷いた。ジョンは手に持っていた紙とペンをコムロに渡し、筆談ができる状態にした。

コムロとジョンは執事のところに行き、状況を説明した。


※ここからコムロのセリフは全て紙に書いている状態である


コムロ「犯人はトロアです。リヨンさんがションソン・デ・ラ・モーンを歌った原因はおそらく私がつけられているこの音声変換機だと思います」


執事「ですが、リヨン様にはそのような機械は見られませんでしたよ」


コムロ「今リヨンさんはどちらに?」


執事「お部屋にいらっしゃいます」


コムロ「このことはお話なさっているのですか?」


執事「いえ、まだです」


コムロ「では、そのことを隠しつつお話しますね」


執事「お願いします」


コムロはリヨンの部屋に向かった。








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