Chapter 8 The Detective of the End 終焉の探偵
第25話 穏やかな朝
朝日で目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む光が、まぶしい。
目をこすりながら起き上がると、隣の布団に梓さんがいた。
まだ眠っている。
寝顔が、穏やかだ。
昨夜、色々話したっけ。
お母さん同士のこと、村のこと、清音さんのこと。
そして――「一緒に頑張ろう」って、私言ったんだっけ。
梓さんの寝息が、静かに聞こえる。
起こさないように、そっと部屋を出た。
◇
リビングに行くと、もう母が起きていた。
キッチンで朝食の準備をしている。
「おはよう」
「あ、おはよう真弓。梓ちゃんはまだ?」
「うん、まだ寝てる」
母が微笑んだ。
「昨日は色々あったものね。ゆっくり寝かせてあげて」
「うん」
私もキッチンに立って、母の手伝いをする。
味噌汁の匂いが、優しく鼻をくすぐった。
◇
しばらくして、梓さんが部屋から出てきた。
「おはよう……ございます」
寝癖がついてる。
いつもの凛とした雰囲気と全然違う。
眠そうに目をこする梓さん。
可愛い。
「おはよう、梓ちゃん。顔、洗ってきたら?」
母が優しく声をかける。
「あ、はい……」
梓さん、ふらふらと洗面所へ向かった。
私と母、顔を見合わせて笑った。
いや、ほんと可愛いな!
◇
三人でテーブルを囲む。
ご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼き。
母の作る朝ごはんは、いつも優しい味がする。
「いただきます」
梓さんが、丁寧に箸を取る。
一口、ご飯を食べて、ほっと息をついた。
「……おいしい」
「よかった」
母が嬉しそうに笑う。
梓さんの食べる姿を見ていると、なんだか嬉しくなる。
昨日も思ったけど、梓さんって本当に一口一口を大切に食べるんだよね。
「梓ちゃん」
母が口を開いた。
「お友達、見つかるといいわね」
梓さんが、少し箸を止めた。
「……はい。頑張ります」
静かな声。
でも、強い意志が込められている。
「私も手伝うよ」
私が言うと、母が少し心配そうな顔をした。
「あんまり無理しないでね。二人とも」
「大丈夫だよ」
「……そう」
母は、少し考えてから、小さく頷いた。
「何かあったら、ちゃんと話してね」
「うん」
◇
朝食を終えて、学校の準備。
梓さんは私の部屋で制服に着替える。
私も着替えて、二人並んで鏡を見た。
「……ありがとう、真弓さん」
梓さんが、小さく言った。
「ん?」
「昨日、今日……全部」
梓さんの目が、少し潤んでいる。
「何言ってるの。また困ったら、いつでも来てね」
「……うん」
梓さんが、小さく笑った。
◇
玄関で、母が見送ってくれる。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
「いってきます」
梓さんも、自然に言葉が出た。
母が、嬉しそうに微笑む。
そして、私たちは、二人で家を出た。
相変わらず暑くて、何も解決はしてないけれど今日はいい日になりそう!
◇
てくてくと、並んで歩く。
真夏の朝。
蝉の声が、うるさいくらいに響いている。
生ぬるい風が、頬を撫でていく。
「昨日は、ありがとう」
梓さんが、小さく言った。
「もう何回目? そのお礼」
「ふふ……ごめん」
梓さんが笑う。
その笑顔を見て、私も笑った。
歩きながら、思う。
梓さん、最初は怖かったけど。
今は、友達だ。
いや、もっと……家族みたいな?
そんなこと考えてたら、なんだか照れくさくなってきた。
◇
駅の雑踏を抜けて、立教通りへ。
同じように登校する学生たちと並んで歩くうちに学校に到着。
校門をくぐると、いつもの朝の風景。
生徒たちの声が響いている。
平和で、穏やかで。
でも――。
なんだろう。
小さな違和感。
何か……変な気がする。
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