恋と真実

関ケ原 しらす

第1話 席替え

1月高校1年生の冬の朝。

1年4組のクラスは活気に溢れていた。

今日は席替えの日。席が黒板に張り出されているのだ。

1年4組の生徒の1人小村 詩乃こむら しのはこの席替えで学生の人生を左右されることをまだ知らない。


◇◇◇◇


「初めて話すね」詩乃は隣の席になった男子、吉川 健よしかわ たける に微笑んだ。

健は男子バスケットボール部に入部しており、運動力はもちろん。顔も整っており、明るい性格から人気が高かった。

同じクラスだが、属している軍の違いに口を聞いたこともなかった。

「詩乃って小説書いてるんだよな?詩乃と同じ小学校の奴らに聞いた」お得意の人懐っこさなのか、気づいたら名前呼びにされていた。

詩乃もそんな健に慣れていき「そうだよ。主に恋愛小説が中心だけどね」と返した。

健は目を丸くし「すごいな。よく思いつくな」と感心したように呟いた。

詩乃は少し笑い「簡単だよ。わたしの場合、たくさん小説読んでるし」と返した。

詩乃の言葉に、健は「うわ〜俺さ文字ばっかり無理」と机に突っ伏した。


◇◇◇◇


帰り道に「あははっ、吉川さんって面白いんだね」そう言って笑うのは、詩乃の友人のめぐみだ。

めぐみは美術部に入っており、おしとやかが特徴の女の子だ。

詩乃のことが何故か気に入ったらしく、ずっと一緒にいた。

そんなめぐみのことも、詩乃は大切に思っていた。

「吉川さんとお話するの楽しい?」めぐみは心配そうに詩乃を見上げた。

詩乃は少し微笑み「楽しいよ。明るいことだからね」とめぐみを安心させる言葉を紡いだ。「もしかして、人気者の吉川さんと付き合って〜?とか」めぐみがいたずらっぽく言うので、思わず詩乃は笑ってしまった。

「そんな事あるわけないよ」と口先だけで言いつつ、そうなればいいと期待してたのも事実だったからだ。

「でも…何か始まる予感はするよ」詩乃は夕日を見つめた。


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恋と真実 関ケ原 しらす @sirasu915

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