第47話 葵の報告会と陽菜の激励


 Side:陽菜


紗耶:さぁ、今日は葵さんが先日の怜人先輩との夏祭りデートで、どこまで行ったのかを赤裸々に語ってもらいますよ。


 紗耶ちゃんがグループチャットでさっそくそう切り出した。

 今から始まるのは、夏祭りデートの報告会だ。

 どんな内容だったのか、私も興味津々。


ひな:わくわく〜。ドキドキ〜。


Aoi:ノーコメントで。黙秘権を主張するわ。


紗耶:なんですか、それ。この期に及んで逃げようなんて往生際が悪いですよ。ちゃんと包み隠さず、詳らかに全てを明かしてください。


ひな:私も聞いてみたいな〜。


Aoi:冗談よ。あなた達に隠し事をするつもりはないわ。でも、語る程の事はしてないと思うのよね。本当に些細な事だったわ。ええ、本当に。


紗耶:む? その言い方だと、逆に何かあったと考えるのが自然ですね。これはまさか行くところまで行っちゃったんじゃ。そうでしたか。葵さん、処女卒業おめでとうございます。これで晴れて大人の仲間入りですね。


Aoi:何でそうなるのよ! 下ネタは禁止したはずよ!


ひな:え〜。葵ちゃん、そうなの〜?


Aoi:陽菜も真に受けないで!


紗耶:ほんのお茶目なジョークですよ。まぁ処女卒業は流石にないですよね。怜人先輩、ああ見えて結構ヘタレみたいですし。


ひな:なんだ〜。びっくりしちゃったよ〜。


Aoi:そうよ。私達は屋台で遊んだり、しただけよ。金魚すくいをしたり、あ、射的で可愛い猫のぬいぐるみを取ってもらったわね。あれは嬉しかったわ。


紗耶:ほう。デートにおいて、彼氏がクレーンゲームや射的で可愛いぬいぐるみを彼女に取ってあげてプレゼントするのはラブコメラノベでは鉄板の展開です。怜人先輩も中々ツボを押さえてますね。


ひな:可愛い猫のぬいぐるみか〜。羨ましいな〜。私猫ちゃん大好きだから〜。


紗耶:他には何かなかったんですか? 祭りのフィナーレに花火大会もあったんでしょう?


Aoi:花火は思い出の場所に行って二人きりで一緒に見て······


紗耶:ん? どうしたんですか? なんでそこで言い淀むんです?


ひな:もしかして、花火を二人で一緒に見てた時に何かあったとか〜?


紗耶:そうなんですか? はっきりとおっしゃってください。例えば熱いキスを交わしたとか。


Aoi:うっ······


ひな:えっ!? 葵ちゃん、怜人君とキスしちゃったの〜?


紗耶:さぁ、どうなんですか? ちゃちゃっと吐いちゃってください。そうすれば楽になれますよ。


Aoi:その······神社で······


紗耶:神社で?


ひな:で〜?


Aoi:花火が上がってる······時に······


紗耶:時に?


ひな:に〜?


Aoi:私の方から······頬に······ああ、これ以上はダメ! 恥ずかしすぎるわ!


紗耶:頬にキスですか。頑張りましたね、葵さん。よくここまで成長しました。私も嬉しいです。


Aoi:いったい誰目線なのよ······


ひな:葵ちゃん、勇気出したんだね〜。凄いな〜。


紗耶:そんな呑気な事言っていていいんですか。次は陽菜さんの番なんですよ?


Aoi:そうよ、陽菜。人の事を面白がっているだけじゃなくて、私に続きなさい。


ひな:え〜、私はキスまではちょっと〜。無理なんじゃないかな〜って〜。


紗耶:ダメです。キスするまで帰れま10です。家に入れてあげませんからね。その時は野宿です。


ひな:ひえっ! 紗耶ちゃんの鬼〜。スパルタ過ぎるよ〜。


Aoi:でも、確かに陽菜は私以上に奥手だから、こういうきっかけがないと、中々進展しなさそうだものね。


紗耶:そうです。陽菜さん、こんなチャンス、めったにないんですからね。


ひな:うぅ······なんとかやってみるよ〜。



 私はそう答えはしたけれど、キスまでいける自信は全くなかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る