第10話 丸投げ爺さん



 神妙な顔をしたジジイの前でパンツを履く。

 そんなにジロジロ見られると履きにくいぞ⭐︎


「学園の件についてですか?」


「そうだ。創立200年の歴史ある学園が瓦礫の山と化しておる」


「生活の基盤のある平民の村、無くなったとしても生活には何ら影響のない学園どちらかを犠牲にしなければならないとなれば学園を犠牲にするのは明白です」


「平民は死んでも領内の消費が減って富むことはあっても困ることはない。学舎が絶えれば王族を含めた同胞の時が止まる。力のある者の時が止まるのは王国にとって損失だ」


 ジジイは怒っているような様子でもなく、淡々と告げる。

 内心では怒りが大爆発してることを考えると、感情的に怒れば幼い子供には怒ったという記憶しか残らないと考えて必死に抑えていると言うところか。

 学園での出来事は王族と貴族を巻き込むから下手したら命取りだからな。

 ジジイの言葉にも同胞と王族と出ているし、ジジイにとってそこが一番肝要なのだろう。

 まあそこは王族と有力な貴族は平民との軋轢をどげんかせんといかんと思っているので何ら問題はない。

 と言うよりもボンボン家も名家である上に教育を牛耳ているので賛同の意を示せば、手を結んで支援してもらえる可能性もある。

 問題はこのことが全てゲームの知識なのでジジイ相手に説明を窮すると言うことだ。

 というか現地民のジジイにはゲームのことなど全く理解できんので何の根拠にもならない。

 この世界は実はゲームで〜とか言えばあたおかと思われるのが関の山だろう。


「平民にだって力ある者はいます。生まれの貴賤によって能力差が生まれるわけではありません」


「能力だけが力ではない。御託はもう良い。貴族が平民なんぞに肩入れをするな。これはボンボン家当主としての意向じゃ」


「平民がなければ貴族は成り立ちません」


「ほう、当主の意見を無視をするとはの。もう当主になったつもりかの。よろしい。ではお前が今から当主じゃ。まずは学園を建て直してみせい。儂は一切手を貸さん」


 はい、説得の途中でジジイがイヤイヤしました。

 ジジイとしては「学校は壊れるし、孫は言うことは聞かんしもう最悪! お仕事放り出して羊羹食べるもん!」って感じか。

 流石に11歳に全部丸投げはいかんでしょ。


「自分で壊したんじゃ。直すのは壊した本人がするのが筋じゃ。文句はなかろう」


 それはそう。




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