孤独と罵声の雨に打たれ、親の愛すら知らず、死に救いを求めるようになった少女。
誰が見ても彼女は被害者であり、周囲は加害者のはずだった。
だが、この世界を統治する英雄機構なる組織の定めた善人と悪人の定義によれば、彼女をそこまで追い込んだ存在たちは悪人ではなく「善人」なのだそう。
では、この「善人」たちが裁かれる日は永遠に来ないのか。
もし、彼らに鉄槌を下す者がいたとして、それは果たして「悪」なのだろうか。
その問いに答えるように現れたのは「ヘブンリー・マスター・セブン」。
世間一般において――あるいは英雄機構の定義において、忌むべきテロリストと呼ばれる存在。
これは、救いを、あるいは死を求める少女が、「善人」を裁くテロリストと出会い、世の不合理に立ち向かう風刺劇。
これは誰しもが裡に秘めた、心の叫びである──。そう、わたしたちは感じざるを得ないだろう。
遥遠くに聳える摩天楼のその上で、わたしたちは大理石の玉座で腕を組んでいた。
誰よりも慈悲深く、慈愛に満ち、どこまでも自虐的で、悲観的。
故に他人を憎めず、悪を赦し、己に猛省する。
──だが、心のどこかでは。燻り狂う怒りが、鉤爪が、わたしたち自身の胸を引き裂く。
そんな彼らを見て、わたしたちは何を思うのか。
冷めた気持ちで、ただ淡々とその嘆きを嗤うだろうか。
その誰よりも傲慢で強欲な、罪深き過剰な正義を、わたしたちは一蹴するのだろうか。
否。否、否っ、否っ!
できるものか。できてたまるものか!
魂を捧げた? そうだろう! これは、叫びであるのだから!
わたしたちは見届けよう!
わたしたちはその!
その清々しいまでの正義なる悪を、肯定しよう──!