第2話 雨宿り
さて、改めてですが――烏の如く
「……ええ、もちろんです
「心深きご親切、甚だ痛み入ります澄玲さま」
そう告げて、家の中へとご案内を。この先の道は些か柔らかくなっており、通常の状態ならば差し支えないのですが、これほどの雨だと土砂崩れが生じる可能性も皆無とは言えません。なので、そういう意味でも承諾しないという選択肢はありません。
すると、恭しく頭をお下げになった後、柔らかな微笑でお入りになる翠明さま。そのご様子にふっと鼓動の高鳴りを覚え、さっと目を逸らします。
……いえ、流石に問題ないでしょう。ただ、頗る感じの良い方だと思っただけ。ただ、それだけのことなのですから。
「……とても、美味しいです」
「……お褒めに与り恐縮です、翠明さま」
それから、一時間ほど経て。
パチパチと火の灯る囲炉裏の前にて、ぱっと破顔しそう伝えてくださる翠明さま。有り合わせの
その後、しばし他愛もないお話を交わしそれぞれ就寝へと入る私達。久方ぶりの――それも、頗る好感の持てるお客さまで、私自身とても心地の好い時間でした。なので、一抹の不安はありますが……ですが、きっと大丈夫でしょう。ええ、きっと――
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