──今、俺は幸せすぎる
結婚して8年目。
俺は35歳、みよりんは27歳になった。長女・空(そら) 7歳 もう小学校2年生
長男・翼(つばさ) 5歳 幼稚園年長
次男・翔(かける) 2歳 やっと歩けるようになった三人とも、俺たちと同じように空が大好きだ。
休みの日は家族5人で飛行クラブに行って、
セスナに乗せてやるのが恒例になっている。後遺症は今も残っている。
俺の右肩は上がりにくいし、
みよりんの左足は雨の日に痛む。
でも、もう気にならない。
一緒に歩くペースが自然と合ってるから、
むしろそれが心地いい。今日は日曜日。
朝から子供たちが大騒ぎだ。「パパ! 今日もひこうき乗せてー!」
空が俺の首にしがみついてくる。
翼と翔も後ろから「パパー!」って飛びついてきて、
俺は3人を抱えたまま倒れ込んだ。みよりんがキッチンから笑いながら、
「もう、朝からうるさいんだから!」
って言いながら、
エプロン姿で出てきた。その瞬間、
俺は胸が熱くなった。こんな日常が、
8年前には
絶対に手に入らないと思ってた。夜、子供たちが寝静まってから、
俺たちはベッドで寄り添う。「……天狼さん」
みよりんが俺の胸に顔を埋めて、
「……なに?」
「……幸せすぎて、怖いときある」俺は、
みよりんの髪を撫でながら、
「……俺もだよ」
「……え?」
「死んだと思ったお前が、今、俺の腕の中にいて、
子供たちのママになってくれてる。
夢なんじゃないかって思うときがある」みよりんは、
涙を浮かべながら、
「……私もだよ。
天狼さんが生きててくれて、
こうやって抱きしめてくれてるのが、
信じられないときがある」俺は、
みよりんをぎゅっと抱きしめた。「……でも、これは夢じゃない」
「……うん……現実だね」窓の外、
満天の星が瞬いている。俺たちは、
あのとき死にかけた命を、
今、
こんなにたくさんの笑顔に変えられた。みよりんが、
「……見ててくれるかな? 私たちのこと」
って呟いた。俺は、
「……見ててくれてるよ。
あのときの俺たちを、
きっと笑顔で見守ってくれてる」みよりんが、
「……ありがとう、天狼さん」
って、俺の胸にキスしてきた。俺は、
「……俺の方こそ、ありがとう」これからも、
ずっと、
この幸せを、
守り続ける。君の分まで、じゃない。
君と一緒に、
空を走り続ける。俺は今、
本当に、
幸せすぎる
──死んだと思っていた君が、生きていた はこみや @hako0713
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