きずあとリペイント

@azunoo_n

第1話みすぼらしい女

ある日3人の女子高生が電車に乗る。

座席に目をやると、女が2人それをみんなが冷たい目で見る。1人は茶髪のショートカットに品のある顔オレンジのブラウスにジーパンとなんの変哲のない女であるが、その女の隣に座る1人の女が、ハンドスピナーをずっと回している。髪は黒髪ボサボサ、服はダボダボのジャージ、なんともみすぼらしい格好である。しかしボサボサの髪の奥に端正な顔がついている。

「美人なのに…勿体無い」そう思う女高生杏花。

一緒に乗っていた2人の女子高生がバカにしてくすくす聞こえる声で悪口を言い始める。

「見て、何あの人?」「ずっとハンドスピナー回してる、ね?靴脱いでない?」「ヤバい人じゃん」

周りの人もくすくすと笑う人もいて、次第に友人達の声も、笑いも、大きくなってゆく。

「流石にそんな大きい声で馬鹿にしたら可哀想だよ」杏花は不満の声を漏らす。杏花本人は正義感いっぱいのつもりらしい。

すると、くすくすと悪口を言い合っていた女子高生のひとりが呼吸を荒くし始める。唇が真っ青になり、電池がいきなりくり抜かれたように体が崩れ落ちた。崩れ落ちた女子高生は、目が開いているが生気が全く感じられなかった。さっきまでの友人が人間ではない別の何かになったかのような感覚に恐怖した。異様な光景に慌てふためく電車内、冷静なのは2人の女。それは先ほどの浮いていた女2人。みすぼらしい女が、大きい瞳で、じっと倒れた友人を見つめ、腕時計を一瞬見る。そして、みすぼらしい女が、「大丈夫ですか。大丈夫ですか。」両肩を叩きながら、友人に呼びかける。返事はもちろんない。そしてみすぼらしい女は、友人の首に触れ、友人の口元に耳を近づける、そして連れの茶髪ショートカットの女に指示を出す。「高田、胸骨圧迫。」

ショートカットの女は「はい!」

と言うとまるで医療ドラマを見ているように胸を押し始める。人間の胸ってあんなに押していいのかと思うほど、容赦なく胸に体重をかけている。

みすぼらしい女はスマホを出し電話をかけ始める「○○線の○○駅付近の電車内で、女性の高校生の方が心肺停止状態です。胸骨圧迫を実施中ですが、AEDがないため、できる限り迅速に救急車を手配してください。場所は○○駅と○○駅の間です。」

通報を終えると

目の前の男を指差し

「あなた駅員に心停止の患者が5両目にいるため、〇〇駅の方にAEDを持って待機するよう伝えて下さい」

と指示し出す。男は戸惑いながらも、「…は、はい!」と言い前の車両に走っていく。

「高田、圧迫変わる」

今度はみすぼらしい女が友人の胸を押す。

駅につくと、そこにはAEDを持った駅員がいた。

電車からホームに友人を運び出す。

ホームにいた女が

「私は看護師です!胸骨圧迫変わって下さい!」と言い胸を押そうとした。

みすぼらしい女は

「私は医師です。胸骨圧迫じゃなくてAEDがあるんだからAEDを貼って下さい。」厳言と話す。

ホームの女は完全に萎縮してしまう、まだ若い女だった。

ショートカットの女がAEDを使い出す、友人の前を開け、赤いバッグの中を開けシールみたいなのを貼り出す。

「先輩変わります。」

ショートカットの女は杏花を見て、

「この子の肌がみんなに見えないように隠してもらえる?」

杏花は、持っていた体操服のジャージをもう1人の友人と広げ壁を作った。

忙しくて記憶にはあまり残っていない、気づいたら救急隊が来ていたのだ。

みすぼらしい女が「5時19分58秒に意識を失い、5時20分32秒に胸骨圧迫を行いました。5時23分52秒に心拍再開しました。心停止状態時間はおそらく3分54秒間と思われます。後お願いします。」

みすぼらしい女の正体は医師であった。おまけに、一緒にいた高田とか言うショートカットの女は看護師であるらしい。

救急搬送後杏花と1人の友人はお礼を言い、先ほどの無礼を謝る。

 みすぼらしい女は「…」。

 女は全く気にしてないし、気づいていな様子だった。無視である。そしてそのまま、ホームを後にする。

 隣にいる高田とか言う女はこちらを見て会釈をして、その女について行ってしまった。

そして数日、杏花は看護師になることを決め、生まれてからしばらく行っていない父型の祖母の家に向かう。親戚の集まりがあったらしい。そこにいたのは、なんとこの前の医者と看護師の姿、驚く杏花、看護師の女はしばらく見つめ目を見開き驚きの表情を見せる。

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