今日だけ赦してください
彩音
赦してくれる人は、存在するのか
神様、今日だけ私を赦してください。
こんな私だけど、赦してください。
今日、私は死ぬ。
こんな人生を終わりにする。
「はぁ、はぁ..」
「疲れた..」
やっと川辺に着いた、もう、死んでしまおうか、
いや、その前に、今までの人生でも振り返ってみようかな。
生まれた時から両親に言われ続けたこと。
「あんたなんて産まなきゃよかった。」
[私だって好き好んであんたらのとこに生まれたわけじゃない]
ずっとそう言いたかった。
でもそんなこと口が裂けても言えない。そんなこと言ったら捨てられる。
小さい頃からそんなことを言われ、思い、育った。
そんな私の、唯一の居場所は学校だった。
けど、小5の時から、虐めを、受けるようになった。
揶揄われたり、ハブられたり、それくらいだったから、あんまり気にしなかった。
でも小6になってそれがエスカレートして、殴られたり、時には切られたりした。
一番嫌だったのは閉じ込められたこと。誰もいない教室に1人で。本当に怖かった。
そんな感じで、小学校卒業。
閉じこもりたかった、けど閉じこもっても親に同じようなことをされるだけ。
そう思って無理やり学校に行った。
中学になって、こんな私に友達ができた。
友達の名前は天音。
いい子で、可愛くて、人気者。
でも、私とは不釣り合いだった。
中1の頃は気にしなかったけど、時間が経つにつれて、
釣り合ってないことに気づき始めた。
周りにも「なんであの子とあの子が?」みたいな目で見られた。
それで中2でクラスが離れて、途端に話さなくなった。
私が避けてた。
そんな感じで中学卒業。高校入学、、.。天音も同じ高校に入学。
もちろん天音はみんなに囲まれてたよ。かわいい、かわいい、って。
それを見て、あ、もうダメだ、って思った。
なんでだろう、何かのネジが外れた。
それで.、.今ここにいる。
あぁーあ、もー終わりか、、短かったなぁ..16年の人生、.、
ばいばい、母親、父親、そして天音、.、
「ばいばい」
「だめっ」
誰かの声がして、川に身を投げようとした私の体を道路に引き寄せる。
「だれっ、やめてっ、やだっ.、じゃましないでよっ」
「だめ、だめ、だめだよ、玲佳。」
「なんで私の名前っ!だれ..?」
「覚えてる?私だよ、天音だよ」
「天音..?」
「うん。」
「なんでっ」
「玲佳が、外に走っていくの、見つけて。嫌な予感がしたから。」
「っ..」
「玲佳、こっちおいで?一緒に学校サボっちゃお?」
「ね?」
「..うん」
「いぇーーい」
「ねね私ね、玲佳と友達でいたいよ」
「..え」
「だって!玲佳、かわいいもん、優しいもん、」
「.、.」
「ね?」
「私は、天音と友達で、いたい、けど。一緒にいたら、私が、」
「引き立て役になるから..」
「え..」
「天音、気づいてないの?天音は可愛いけど、私は可愛くない。引き立て役になっちゃうんだよ。」
「そんな、こと..」
「あるよ。そんなことあるよ!だって実際そうだった」
「え、そ、だったの?」
「そうだよ。天音は知らないだろうけど、天音といるとなんでって言われてた。」
「はぁ.そんなん..」
「..?」
「そんな奴ら言わせとけ!関係ない!玲佳は可愛いよ!」
「玲佳は可愛いーーーよ!周りがどう言ったって玲佳は玲佳。私の大好きな友達!」
「..」
「玲佳、辛い思いさせてごめんね、」
「だいじょぶ..」
「玲佳、」
「なに」
「私と、友達に、なってくれますか?」
「!もちろん!」
「よかった..」
「ふふ..」
それから、私の人生は大幅に変わっていった。
まず学校が楽しくなった、
次に、私は天音の家の、養子になった。
近所の人が娘に暴力を振るう私の両親を通報したらしい。両親は逮捕された。
そして天音の家に引き取られた。
天音と姉妹になった。
通信高校に移った。
そして病院に行き、傷を治療をした。
そして傷が治ると、みんなに言われるようになった。
「玲佳ちゃんって、可愛いね」って。
嬉しかった。そんなこと言ってくれるのは今まで天音だけだったから。
天音と歩いてると、美人姉妹って言われるようになった。それが一番嬉しかった。
天音が言ってくれた「可愛い」は本当だったんだ、と、思えた。
「天音、」
「ん?ーどしたぁ!我が妹よ」
「ふふ、ありがとう、お姉ちゃん。私を救ってくれて。」
「んえ..いえいえ〜!大好きだぁ!玲佳!」
「んわぁ..」
「ああああー可愛いなぁ玲佳は..」
ありがとう、天音。ありがとう、命の恩人。
ずっと大好きだよ。
ー完ー
ー総文字数1,800文字ー
今日だけ赦してください 彩音 @aya2389
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