クぅ、ありがとう。安らかにね
安部史郎
クぅ、ありがとう。安らかにね
2時にラインが入いる。
今度は深刻らしい。オオカミ少年を期待したが、毎日世話してクぅを一番よく知ってる妻の「今度は、今までと違うかも」が五時半過ぎの帰りの電車の中に入いる。
この夏、長島先生に診てもらったから、妙に安心していたのだ。次の春に14になって、15、16,17才になるクぅを描いていたのに、現実はこの冬を超えなかった。
6時に、「まだ、心臓うごいてる」が入いる。
「まだ」が、そのことから秒読みしてるのが伝わった。2時のときは止まり木にいる頭を
こっちの覚悟などお構いなしに、すぐに「クぅ、永眠」が追いかけてきた。
ありがとう、ごくろうさまが出た。ほんとうは覚悟などとうに出来上がっていたのだ。1年前から脚を引きずるようになって、飛べなくなって、それでも夕食を食べ終わったあと籠から出してやると、いつものように喜んで出てきてくれて、ハイハイしながらわたしに近づいて呉れる。可愛いと思っても、そのハイハイは赤ちゃんがするハイハイでなはない。白地に空色を浮かべて羽ばたいてたセキセイインコのその先のハイハイなのだ。
ありがとうクぅ、ごくろうさまでした。安らかにね
クぅ、ありがとう。安らかにね 安部史郎 @abesirou
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