第9話「暴走する心臓と世界の真実」

 追い詰められたシルヴァンは、しかし不気味な笑みを浮かべていた。

 彼は懐から、ダンジョンで手に入れた「始祖の心臓」を取り出した。


「まだだ……まだ終わりではない! この力さえあれば、私は神にだってなれる!」


 シルヴァンは秘宝を自身の胸に突き立て、その力を無理やり取り込もうとする。

 しかし、彼の歪んだ欲望に反応した「始祖の心臓」は、おぞましい脈動と共に暴走を始めた。

 世界中の魔力がギルドハウスに集まり、制御不能なエネルギーの渦となって全てを飲み込もうとする。


「な……なんだ、これは!?」


 シルヴァンの身体はエネルギーの奔流に耐えきれず、内側から崩壊していく。

 世界の終わりが、すぐそこまで迫っていた。

 その時、カイエンとアキトの脳裏に、直接声が響いた。

 それは温かく、そして悲しみに満ちた声だった。


 《私の子供たちよ……どうか、この世界の叫びを聞いてください……》


 声の主は、「始祖の心臓」そのものだった。

 秘宝は、強大な力を与える願望器などではなかった。

 それは、エーテリアという世界の魔力バランスを保つための心臓部であり、「封印装置」。

 世界の生命そのものだったのだ。

 シルヴァンの身勝手な欲望が、その封印を解き、世界の生命力を暴走させてしまったのだ。


 このままでは、エーテリアは崩壊し、無に帰してしまう。

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