星祭り
風が止むと、幾重にも重なった雲と雨音は姿を隠していた。
「お
「ほんまやな。雨が上がった後やさかい、よう見えるわ。七夕の節句にうってつけやな。ほぼ毎年晴れとるけど、こんなに綺麗なんは何年ぶりやろ」
「正に
康隆は目を細めてお滝を見ていたが、その手に握っているものにはたと目を留めた。
「お滝、それは何や?」
「えっ、いつの間に持ってたんやろ」
お滝は左手に持っているものに目を奪われた。薄く輝くそれは櫛であったのだ。まるで
「龍神さまがくれはったんかな……落とし物拾ったお礼なんかも? 何か畏れ多いわ……」
「ほんなら神棚にお供えしとくか? お滝にはちょっと早い代物やろうし?」
まだ成人していないことを突かれたお滝は、頬を膨らませる。
「お
「ほんなら手始めに雨の
それを聞いてお滝はぎゃんぎゃんと言っていたが、康隆はいつまでも笑っていた。
龍が来たりて轟と啼く 初月みちる @hassakumikan
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